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海外サッカー

長谷部誠や遠藤航ら日本人はなぜドイツで評価されるのか? カギは「言われたことばかりやる選手」からの成長【現地発】

THE DIGEST編集部

2022.08.17

今季から名門シャルケの一員となった吉田。だが、彼は抜群のコミュニケーション能力で早くも打ち解けている。(C)Getty Images

今季から名門シャルケの一員となった吉田。だが、彼は抜群のコミュニケーション能力で早くも打ち解けている。(C)Getty Images

 僕らは先入観を持っているため、馴染みのある方程式で事象を観察してしまう。

 欧米人には欧米人のボディーランゲージに対する解釈がある。ちょっと肩を落とし、地面を見ながら歩いているだけで、がっかりしている、へこんでいると思われてしまう。本人的には普通に歩いているつもりでも、「落ち込むな!」と声をかけられた経験は僕も何度もある。

 あるいは「常にダッシュをしていないとやる気がない」とか「闘争心がない」なんて見られた経験もある。でも、それは「ない」からしないわけではなく、出し方が人によっては違うというところでの共通認識が持てていないだけだったりするのだ。

 例えば、鎌田大地のひょうひょうとした動きは、ドイツにやってきた当初、「無気力」という風に受け止められていた。フランクフルトの人たちに「そんな風に」みられていたというのは、ある意味で自然な事象だと言えた。

 そんな時にできるのは、「そういう風に」見えないためのコミュニケーションや欧米流ボディーランゲージを学ぶのか、あるいは自身のボディーランゲージの正しい解釈を現地の人へ分からせるか、だ。

 無論、コミュニケーションとは伝えたら終わりではない。相手の言わんとすることを理解し、解釈し、それをもとにどうするかを探り合うのが大切になる。そうした点で、自身が納得のいかない事柄に「違う」と口にし、自分がどういう思いでやっているかを説明し、プレーでイメージを明確化したりする日本人選手は間違いなく増えてきている。お互いに何を考えているかわからなければ、ピッチ上でいいプレーをし合うことはやはり難しい。
 
 昨季にデュッセルドルフのトップチームデビューを飾った内野が、僕に興味深い話をしていた。

「日本で培ったもの、日本人として培ってきたいいものは継続しないと思っています。監督に求められたことは選手としてやらないと。ただ、これはシンキビッツ(※デュッセルドルフのセカンドチームでコーチだった)にも言われてたのですが、『もっと自分で考えてやった方がいい』って。

 ある試合で監督が、『3バックセンターの選手は足が遅いから、簡単に裏へチップキックでパスを送れ』という話をしていたので、それを意識してやっていたら、シンキビッツに個人的に呼ばれて『監督はそういっていたけど、自分で考えてやらないともっといいプレーヤーにはなれないぞ』という話をしてくれた。そういうのを学びつつ、いいバランスでやっていきたいです」

 それぞれに自分の価値観がある。だが、こうしたコミュニケーションを通じ、さらに成長する道を模索し続けるところが肝であり、ドイツだけでなく欧米での日本人の飛躍のカギとなるのではないか。

 ここ最近、多くの日本人選手が見せる「学習能力の高さ」は、ドイツの現場においても間違いなく高く評価されているところであり、他の選手の手本として扱われる。だからこそ、いまブンデスリーガで活躍している選手たちが、ここからどんな成長を見せてくれるのかを楽しみにしたい。

取材・文●中野吉之伴

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