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海外サッカー

「ただ耐えるだけ」スペインに“スコア以上の完敗”を喫したイタリア、今大会の歩みを左右するのは「次戦までのメンタル面での立て直し」【EURO2024コラム】

片野道郎

2024.06.21

 それに対して、課題は山積である。最も大きいのは、狙ったゲームプランをまったく遂行できなかったことだ。立ち上がりからスペインに翻弄され、プレッシングでもポゼッションでも、そして1対1突破に代表される個のクオリティーでも、明らかに相手が上手であることを見せつけられて意気消沈し、ある種の諦めをもってスペインの優位性を受け入れたかのような振る舞いに終始した観がある。

 たまにボールを奪っても、スペインの速いプレスの前に落ち着いてパスをつなぐことすらままならず、自陣から持ち出す前にパスミスやデュエルで奪回されてまた受けに回るという繰り返し。少しでもボールを保持して敵陣に侵入することができたのは、スペインがようやくプレスの圧力を下げた75分以降のことだった。

 そのラスト15分で多少押し返したとはいえ、そこで相手に脅威を与え得るような戦力的なオプション、試合の流れを変えられるスーパーサブを持っていないことも、この試合で改めて露呈した課題(というよりも弱点)のひとつ。ドメニコ・ベラルディやニコロ・ザニオーロという攻撃の駒が故障で招集できなかったこともあるが、この試合で途中出場したマテオ・レテギ、マッティア・ザッカーニ、ジャコモ・ラスパドーリは、ほとんど存在感を発揮することができないまま試合を終えている。
 
 スパレッティ監督は、ポゼッションとハイプレスによるボール支配で主導権を握る戦術コンセプトを貫く意思を当初からはっきりと打ち出しており、その意味でイタリアに「プランB」は存在しない。しかし、同じコンセプトを打ち出すスペインとの真っ向勝負でここまで叩きのめされたことで、自分たちのサッカーに対するチームの自信と確信が揺らいでいる可能性は小さくない。

 次のクロアチア戦まではわずか中3日。指揮官が戦術面ではなくメンタル面でどれだけチームを立て直すことができるかは、イタリアの今大会での歩みを決定的に左右する要素になるだろう。

 ちなみにそのクロアチア戦は、引き分け以上ならグループ2位抜けが確定するが、敗れた場合は良くても3位(得失点差などで敗退のリスク大)、もしアルバニアがスペイン(すでに1位抜け確定のうえ、ロドリが出場停止)を破れば4位敗退が確定する。

 引き分け狙いではなく勝ちに行く積極的な姿勢が必要であり、それができるかどうかもまた一つの試金石と言えるだろう。

文●片野道郎

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