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海外サッカー

「どうしてポジションを変えなければならないんだ…という葛藤もあった」マドリーの背番号8を継承するバルベルデ、“便利屋”からチームの中心へ――

下村正幸

2024.06.23

 クロースの周辺を縦横無尽に動き回りながら、後方から配給役を担い、パスやドリブルで局面を動かしてきた近年の働きは、そんなバルベルデだからこそできる芸当だったと言える。ポジションを下げた分、得点数は減少したが、チーム内での存在感は確実に高まった。

 マドリーは、「モドリッチとクロースがいなくなった時に正念場を迎える」と長年言われ続けてきた。2023-2024シーズンは、モドリッチの出番が激減する中、クロースが無双し、ラ・リーガとCLの2冠を達成した。しかし来シーズン、その唯一無二のゲームメーカーがいなくなる。アンチェロッティがどのように中盤を再編するか興味は尽きないが、その中でバルベルデが果たす役割は言うまでもなく大きい。

 本人も認めているように、これまでは縁の下の力持ち役を買って出ていた。自らが引っ張る立場になれば、磨きをかけてきたパスセンスや視野の広さを活かし、組み立ての局面でもさらに存在感が増す可能性は十分にある。
 
「勝つことを楽しむ。それこそが僕がここで培ってきたメンタリティーだ。マドリーでプレーするというのは、大きなことを成し遂げ、重要なタイトルを獲得するという希望と夢を持つことだ。何年もこのクラブにいると、それがどんなに大変なミッションであっても、勝利へのハングリー精神を失わずに常に上を目指す姿勢を叩き込まれる」

 与えられた役割を黙々とこなすことで、バルベルデは偉大な先輩たちに導かれながら、「マドリーでプレーすること」の意味を学んできた。ポジション、周りのチームメイト、試合展開に応じて表情を変えてきた便利屋が、中心選手として君臨する番になり、どのような姿を見せるか。マドリーのDNAの正統な後継者たる「新8番」のプレーは、来シーズンの注目すべきポイントのひとつだ。

文●下村正幸

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