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海外サッカー

イスラエルに2ー1勝利のイタリア代表、「3ー5ー2のインテルモデル」を骨格に「コンパクトな陣形と高いインテンシティーを保ったのは大きな収穫」【現地発コラム】

片野道郎

2024.09.10

62分にケーンが追加点。ラスパドーリのシュートは相手GKに防がれたが、そのこぼれ球を押し込んだ。(C)Getty Images

62分にケーンが追加点。ラスパドーリのシュートは相手GKに防がれたが、そのこぼれ球を押し込んだ。(C)Getty Images

 1ー0で折り返した後半も、立ち上がりはイスラエルが積極的に前に出て、徐々にイタリアが押し返して主導権を握るという展開は同じだった。50分にはまたも左サイドの「インテル・ホットライン」から、今度はバストーニが抜け出し、後方から走り込んだフラッテージに短いスルーパスを送り込んで決定機を作り出す。

 前半半ば以降がそうだったように、イタリアはイスラエルのハイプレスが続かなくなった60分前後から、コンパクトな陣形を高い位置に押し上げて逆にイスラエルに圧力をかけ、敵陣でボールを奪って攻勢に転じる場面を増やしていく。62分には、フラッテージのパスカットからショートカウンターに転じ、ラスパドーリのシュートをGKが弾いたこぼれ球をケーンが押し込んで2ー0。その後も中盤でのボール奪取から素早く縦に展開し一気にフィニッシュまで持ち込む決定機を再三作り出した。

 大勢が決した90分に、セットプレーからのこぼれ球を押し込まれて1点を許したものの、全体的に見れば、二度ほど許したカウンターを除くとイスラエルに危険な場面はほとんど作らせず、最初の15分を除くとほぼ常に主導権を握って試合をコントロールしての順当な勝利だった。

 わずか2か月前のEURO2024で見せた不甲斐ない戦いぶりを思えば、先のフランス戦に続いて勝点3という結果を手にしただけでなく、3ー5ー2の「インテルモデル」という新たなチームの骨格を確立し、2試合とも90分を通してコンパクトな陣形と高いインテンシティーを保って戦い切ったのは、非常に大きな収穫と言うことができる。
 
 スパレッティ監督は、試合後の会見で次のように語った。

「今回の招集メンバーは考えに考え抜いて決めたものだ。チームは私の期待に完璧に応えてくれたし、私が思っていたようなクオリティーを発揮して2つの勝利を勝ち取った。ここからは、今回もろもろの事情で招集しなかった2~3人を含めて、このグループをさらに強化していくだけだ。そこにさらに割り込んで来る選手がいれば大歓迎だ」

 確かなのは、指揮官はこの新たな3ー5ー2プロジェクト、そしてそれを担うべきグループに十分な手応えを感じているということだ。EUROでの迷走が高い授業料だったことは間違いないが、その反省に基づく深い洞察から生まれたこの新しいイタリアが、12年ぶりのワールドカップ出場に向けて明確なアイデンティティーを確立しつつあるとすれば、その苦過ぎる経験も無駄ではなかったと言えるだろう。

 ネーションズリーグは、10月半ばと11月半ばの代表ウィークに2試合ずつを行ない、リーグA・4グループの上位2か国が3月のプレーオフ(ホーム&アウェー)に進出。その勝者が6月のファイナル4トーナメントを戦うというカレンダーになっている。

 イタリアは、10月にホームにベルギーとイスラエルを迎え、11月はアウェーのベルギー戦とホームでのフランス戦というスケジュール。次のベルギー戦も楽しみである。

文●片野道郎

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