後半もイタリアが押し込む展開は変わらなかった。54分には左サイド深いところからラスパドーリが蹴ったFKに、控えのドンナルンマに代わってキャプテンマークを巻いたディ・ロレンツォが頭で合わせて2ー0とリードを広げた。
ところが66分、珍しくイスラエルにCKを与えたところから、キッカーのモハマド・アブ・ファニが直接ゴールを狙ったボールに対し、GKヴィカーリオが目の前に立った相手にブロックされて飛び出すことができず、誰も触れないままゴールインする不本意な形で1点差に詰め寄られるアクシデントが発生した。
しかしイタリアは動揺することもなく、72分には辛抱強いポゼッションで押し込んだ後、こぼれ球を拾っての二次攻撃からディマルコがクロスを折り返すと、フラッテージがダイレクトで合わせて3ー1と突き放した。
さらに79分、同じ左サイドから今度はその6分前に途中出場したデスティニー・ウドジエがクロスを入れ、後方から走り込んだディ・ロレンツォがそれをねじ込んでこの日2得点目。4ー1とし、試合の行方を決定づけた。
ちなみにこのウドジエのクロスは、同時に途中出場してA代表デビューを果たしたダニエル・マルディーニが、左大外を縦にドリブル突破したところから生まれたもの。祖父チェーザレ(故人)、父パオロに続く3世代の代表キャップは、イタリアサッカー史上過去に例がない。スペインでは、マルコス・アロンソ(セルタ)、マルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)の2人が実現している。
試合はそのまま4ー1で終了。90分を通してのボール支配率65対35、シュート数17対5(枠内8対2)という数字が示す通り、両チームの実力差をそのまま反映した順当な内容、そして結果だった。
イタリアにとっては、4日前のベルギー戦(ただし11人で戦った前半40分まで)に続いて、後方からじっくりパスをつないでの押し上げと長い縦パスによる速い展開を効果的に使い分け、とりわけピッチの幅を効果的に使った連携から繰り返し決定機を作り出したという点で、収穫の多い試合だったと言える。
とくに大きいのは、夏のEURO2024以来、過剰なほどの批判に晒されてきたディ・ロレンツォが2得点のほかにも、それ以上にビルドアップにおける右WBカンビアーゾとの連携、そして安定した守備で説得力のあるパフォーマンスを見せ、完全復活をアピールしたこと。
さらに、試合を重ねるごとに周囲との連携が向上し、フィニッシュのみならずポストプレーなどを通したビルドアップへの貢献度も高まって、「9番」らしい風格が備わってきたレテギの成長ぶりも特筆すべきだろう。今シーズン移籍したアタランタでジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の薫陶を受け、センターフォワードとして一皮むけた印象だ。
大きな失望をもたらしたEURO2024からわずか4か月で、まったく別のチームに生まれ変わりつつあるアッズーリ。11月の代表戦には、ニコロ・バレッラ、フェデリコ・キエーザといった主力クラスも戻ってくるはずだ。
10月の2試合で代表デビューを果たしたニッコロ・ピジッリ、マルディーニ、ロレンツォ・ルッカといった若手から、そして現在故障離脱中のジョルジョ・スカルビーニ、ジャンルカ・スカマッカまで、陣容にさらなる厚みをもたらしうる戦力にも事欠かない。このネーションズリーグ、そして25年3月から始まるW杯予選を通じて、どこまで成長していくのかがますます楽しみだ。
文●片野道郎
【関連記事】イタリア代表がベルギーと2ー2ドローも…「38分まで試合を一方的に支配し、10人で勝点1を守った側面に焦点を当てるべき」【現地発コラム】
ところが66分、珍しくイスラエルにCKを与えたところから、キッカーのモハマド・アブ・ファニが直接ゴールを狙ったボールに対し、GKヴィカーリオが目の前に立った相手にブロックされて飛び出すことができず、誰も触れないままゴールインする不本意な形で1点差に詰め寄られるアクシデントが発生した。
しかしイタリアは動揺することもなく、72分には辛抱強いポゼッションで押し込んだ後、こぼれ球を拾っての二次攻撃からディマルコがクロスを折り返すと、フラッテージがダイレクトで合わせて3ー1と突き放した。
さらに79分、同じ左サイドから今度はその6分前に途中出場したデスティニー・ウドジエがクロスを入れ、後方から走り込んだディ・ロレンツォがそれをねじ込んでこの日2得点目。4ー1とし、試合の行方を決定づけた。
ちなみにこのウドジエのクロスは、同時に途中出場してA代表デビューを果たしたダニエル・マルディーニが、左大外を縦にドリブル突破したところから生まれたもの。祖父チェーザレ(故人)、父パオロに続く3世代の代表キャップは、イタリアサッカー史上過去に例がない。スペインでは、マルコス・アロンソ(セルタ)、マルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)の2人が実現している。
試合はそのまま4ー1で終了。90分を通してのボール支配率65対35、シュート数17対5(枠内8対2)という数字が示す通り、両チームの実力差をそのまま反映した順当な内容、そして結果だった。
イタリアにとっては、4日前のベルギー戦(ただし11人で戦った前半40分まで)に続いて、後方からじっくりパスをつないでの押し上げと長い縦パスによる速い展開を効果的に使い分け、とりわけピッチの幅を効果的に使った連携から繰り返し決定機を作り出したという点で、収穫の多い試合だったと言える。
とくに大きいのは、夏のEURO2024以来、過剰なほどの批判に晒されてきたディ・ロレンツォが2得点のほかにも、それ以上にビルドアップにおける右WBカンビアーゾとの連携、そして安定した守備で説得力のあるパフォーマンスを見せ、完全復活をアピールしたこと。
さらに、試合を重ねるごとに周囲との連携が向上し、フィニッシュのみならずポストプレーなどを通したビルドアップへの貢献度も高まって、「9番」らしい風格が備わってきたレテギの成長ぶりも特筆すべきだろう。今シーズン移籍したアタランタでジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の薫陶を受け、センターフォワードとして一皮むけた印象だ。
大きな失望をもたらしたEURO2024からわずか4か月で、まったく別のチームに生まれ変わりつつあるアッズーリ。11月の代表戦には、ニコロ・バレッラ、フェデリコ・キエーザといった主力クラスも戻ってくるはずだ。
10月の2試合で代表デビューを果たしたニッコロ・ピジッリ、マルディーニ、ロレンツォ・ルッカといった若手から、そして現在故障離脱中のジョルジョ・スカルビーニ、ジャンルカ・スカマッカまで、陣容にさらなる厚みをもたらしうる戦力にも事欠かない。このネーションズリーグ、そして25年3月から始まるW杯予選を通じて、どこまで成長していくのかがますます楽しみだ。
文●片野道郎
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