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海外サッカー

パルク・デ・プランスの「主」は誰に!? パリSGの本拠地移転プロジェクトにはサポーター、候補地の住人、国内外メディアから反発や懐疑的な見方が…

THE DIGEST編集部

2025.07.01

 しかしこの件を受けて、両自治体では地元住民による反対運動が起きているという。マッシーでは、住民たちがこのプロジェクトを「現実離れしたもの」だと批判して住民投票の実施を求め、ポワシーでも自動車メーカー「ステランティス」の従業員たちが、工場の土地をクラブが買い取ってスタジアムを建設することが、彼らの職場である工場の閉鎖を早めることになるという懸念から、抗議活動を展開している(パリSGの専門メディア『VIPSG.FR』より)。

 ただ、まだパルク・デ・プランス残留の可能性が消えたわけではない。来年にはパリ市長選挙が行なわれるが、立候補を表明しているラシダ・ダティ氏は同スタジアムの売却に前向きな姿勢を見せているという。これに対し、クラブ関係者は日刊紙『Le Monde』で「売却が可能になれば、それを選択肢に含めるか検討する」と語り、パリのピエール・ラバダン副市長も「誰もがパリSGにはパルク・デ・プランスに残ってほしいと思っている」との声明を発している。

 なお、もしパリSGが新天地を求める場合、パルク・デ・プランスには来季よりリーグアンでプレーするパリFCにとって魅力的な新本拠地に、またパリSGを失ったパリ市にとっても理想的な「新たな住人」となると見られているようだ。ちなみに、このパリFCを「LVMH」創業者のベルナール・アルノー氏が買収し、レッドブル・フットボール・グループも支援するようになったことが、「パリSGのこの街における立場を弱めた」と『LE FIGARO』紙は指摘する。
 
 同メディアは一方で、このプロジェクトが「クラブとサポーターの関係を断絶するリスクがある」とも報じている。実際、一部のサポーター、とりわけ歴史ある応援団体は強い反対の意を表明。彼らにとって、パルク・デ・プランスは単なるスタジアムではなく、1974年以来のクラブの歴史と情熱が詰まった「アイデンティティの象徴」であり、「CUP(コレクティフ・ウルトラス・パリ)」は特に強く反対の声を上げ、「魂の喪失」や「画一的なスタジアム体験」への懸念を表明した。

 郊外への大型スタジアム建設は、雰囲気・アクセス・観客の忠誠心という観点からも不安視されているようだが、一方で、より現実的な見方をする層からは、欧州の舞台で戦うためには現代的なスタジアムが必要だという意見もあり、同メディアは「こうした意見の相違は、経済戦略と感情的愛着の両立がいかに難しいかを物語っている」と綴っている。

 この件には国外メディアも注目しており、その中で英国の日刊紙『The Guardian』は、パリSGが郊外に移転することで「パリ唯一のクラブという独占的地位を失う危険性がある」と指摘し、「リスクが大きい。ファンは反発するだろう。パルク・デ・プランスはクラブが生まれ、歴史を刻んだ場所であり、セーヌ=サン=ドニなどの郊外から通う多くのファンにとってアクセスも良い。スタジアムの特徴的な形状とレトロ・フューチャー感は、感情を高める舞台でもあり、再現するのは不可能だ」と、否定的な見解を示している。

構成●THE DIGEST編集部

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