WSD：足で踏む治療に、特別な呼称はあるのですか？

木谷氏：基本的にはないんです。ただ、僕が柔道整復師の免許を持っているからか、「柔道セラピー」と呼ばれています。僕自身は柔道経験はないんですけど（笑）。施術を受けた外国人選手たちは、最初はびっくりしますけど、終わった後は「すごく良かった」と喜んでくれますね。一般の人の場合は接骨院とかに何回か通って治すと思うんですが、対スポーツ選手となると、一撃でどうにかしないといけません。効果をどれだけ早く実感させられるかが重要です。でなければ、クライアントは獲得できないかもしれない。何かストロングポイントがないと。ただ基本的に、日本人の能力、高い技術があれば、海外でも絶対にやっていけると思います。

WSD：実際に施術した感触として、日本人選手とプレミアリーグの選手はどう違いますか？

木谷氏：骨格がそもそも違います。骨盤の傾き方や筋肉のついている場所も。筋肉の質も大きく異なります。硬い、柔らかいがありますし、動く筋肉かそうでないかも個人差がある。（施術すれば）足の速さやサッカーが上手いかどうか、動きが柔らかいかそうでないかは、なんとなく見えますね。それくらいの腕がないと、トップアスリートは満足してくれないと思います。外国人選手は、身体が出来上がっている選手が多い印象です。
  WSD：その選手が大成しそうかどうかも、身体を触れば分かるものですか？

木谷氏：メンタル的な側面や不運な怪我に見舞われることもありますので、絶対とは言えません。宮市選手などは、「すごく良い身体しているな、能力が高いな」とすぐに分かりました。出会った頃はもう怪我をしていましたけど、ポテンシャルは感じましたね。南野選手も診させてもらって「能力が高い」と感じた一人です。

WSD：木谷さんは、日本人でファン・ダイクの身体に触れた数少ない人だと思います。現在の世界ナンバー１センターバックの身体はどうでしたか？

木谷氏：「人類の中の雄、史上最強」の身体ですね。単純に、ナチュラルに凄い。筋トレとか一切しなくても普通に凄いと思います。強いけど、柔らかい。すべての良いものが集約した身体で、「こいつはすげぇ」と驚きました。僕が診たときのファン・ダイクは、たしか足を骨折した後でリハビリに励んでいて、復帰がもうすぐという時期でした。リバプールに行く行かないという話が浮上した夏の前、16-17シーズンの終わりの頃でした。