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海外サッカー

「一番の鍵は日本戦であった」――クロアチア代表指揮官が明かした森保ジャパン攻略の苦悩。8強を懸けた激闘の舞台裏【現地発】

THE DIGEST編集部

2023.02.01

大会前の下馬評を覆す躍進を見せた日本。そんなチームを率いた森保監督へは、ダリッチ監督も賛辞を贈る。(C)Getty Images

大会前の下馬評を覆す躍進を見せた日本。そんなチームを率いた森保監督へは、ダリッチ監督も賛辞を贈る。(C)Getty Images

 W杯終了から1か月以上が経った今、ダリッチは日本戦をこう振り返っている。

「(日本戦の)勝利は重要だった。チームのムードを一気に盛り上げた。これほど難しい試合を征服することができたのだ、もう後は上りつめるしかないと感じた」

 クロアチアには『上にはもう空しかない』という表現があるが、まさにそれだった。

 だからこそ、準々決勝のブラジル戦は余裕をもって迎えられ、それが3位入賞へとつながったのだ。

 日本の素晴らしい点はピッチの中だけではなかった。クロアチア戦後、森保監督はクロアチア代表の面々に一礼をし、相手の勝利を祝福した。この振る舞いにはクロアチア国民が感嘆の声を上げた。もちろん、ダリッチも称賛している。
 
「日本代表と森保監督には特別なフェアプレー賞が贈られてしかるべきだ。フェアプレーでいったら日本はどこのチームにも負けない高いレベルにあるだろう」

 カタールでプレーした日本代表の何人かは2026年のW杯ではプレーしないかもしれない。だが、若い選手たちは今後も代表で共に戦い、より連携を深めていく。間違いないのは、日本はもっと、もっといいチームになるということだ。

 主力選手の多くが、ヨーロッパのクラブでプレーしているのも、代表が成熟していくうえで大きな手助けとなるに違いない。1998年のフランスW杯でクロアチアが初めて日本と対峙した時、すべての選手は国内でプレーしていた(その後に中田はペルージャに行ったが)。2006年に二度目の対戦をした際には、海外でプレーする選手は6人になり、今回はなんと19人だ。それも、選手たちの中には、欧州で「強豪」と呼ばれるチームでプレーする者もいる。世界に例を見ないほどで勢い成長を続ける日本サッカーの今を如実に語っているだろう。

 ただ、一つ注意したいのは、これからは誰も日本を軽視しないという点だ。彼らを見くびれば、痛い目を見るというのは、今回のW杯で世界に知れ渡ってしまった。どのチームも、文字通り全力で対峙してくるはずだ。つまりサムライは今まで以上に力をつけていく必要があると言える。

取材・文●ズドラフコ・レイチ
Text by Zdravko Reic

【著者プロフィール】
1941年12月10日 スピリット生まれ
1959年よりスロボンダ・ダルマチア紙のスポーツジャーナリストとして活躍。同時にスポルツケ・ノヴォスティのコラムも執筆。フランス・フットボール、ワールドサッカー(イギリス)のクロアチア支局員も長きにわたり務める。2005年からはクロアチア国営TVのサッカー番組のメインパーソナリティーを務め、豊富な経験から出演した選手や監督から真実を引き出すことに定評がある。

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