これまでにツアー20勝を挙げている男子テニス元世界ランキング1位のダニール・メドベージェフ(ロシア/現15位)が苦しんでいる。今夏の北米ハードコートシリーズでも結果を残せず、不振脱却の兆しはまだ見えてこない。
7月末の「ムバダラ・シティDC・オープン」(アメリカ・ワシントンDC/ATP500)ではベスト8に進出するも準々決勝でコレンティン・ムテ(フランス/現44位)に敗退。直後の「ナショナルバンク・オープン」(カナダ・トロント/ATP1000)では3回戦で前年覇者のアレクセイ・ポピリン(オーストラリア/現19位)に敗れ、現在開催中の「シンシナティ・オープン」(8月7日~18日/アメリカ・シンシナティ)では初戦の2回戦でアダム・ウォルトン(オーストラリア/同85位)に逆転負けを喫した。
オハイオ州(シンシナティの開催地)を襲った酷暑の下、ウォルトンとの約2時間半にも及ぶ激闘の末に敗れたメドベージェフは心身共に完全に消耗しきった様子だった。試合後はコートサイドの椅子に腰掛け、水のボトルを片手に足を投げ出して虚ろな表情でコートを見つめていた。
四大大会に次ぐグレードのATP1000に属するカナダ・マスターズとシンシナティではそれぞれ1度ずつ優勝を経験しているメドベージェフだが、昨年はいずれも初戦敗退に終わり、今年も両大会を通じてわずか1勝にとどまった。
ちなみに今季のメドベージェフは全豪オープンで2回戦敗退、全仏オープンとウインブルドンで1回戦敗退と四大大会では1勝しかできておらず、ツアーでも決勝進出は1大会のみ。現在は最終戦レースランキングでも圏外の19位に沈んでおり、2020年に優勝した「Nitto ATPファイナルズ」(11月9日~16日/イタリア・トリノ/ハード/FIN)への7年連続出場にも黄色信号が灯っている。
23年5月の「イタリア国際」(クレー/ATP1000)を制して以来ツアー優勝から遠ざかっているメドベージェフは、ウォルトン戦後のインタビューで自分を見失いつつある苦しい現状を嘆きながらも必死に前を向いた。
「こういう環境下では、フィジカル的に全てが非常に厳しくなる。それが今の最優先課題だ。ただ今は全く自信がない。もし身体とフィジカルが自分を見捨ててしまったら、どんなショットを打っても自分を救えない」
「全てがとてももどかしいし、失望も大きい。今は厳しい時期だ。それでもこのスポーツではこういうことも起きる。今できるのは、解決策を探し続けることだけだ。まだ答えは見つかっていないし、それを見出すにはかなり時間がかかりそうだが、いつかは必ずたどり着くはず。暑さの中でプレーするのは誰にとっても難しいが、なぜそれが以前より難しくなっているのかが自分でもわからない。原因を突き止める必要があるが、まだそれができていない」
メドベージェフが次に臨むのは今季最後の四大大会「全米オープン」(8月24日~9月7日)。21年大会でノバク・ジョコビッチ(セルビア/現6位)の年間グランドスラム(同一シーズンで四大大会全てを制覇すること)を阻止し、悲願の四大大会初優勝を飾った思い出の舞台だ。ニューヨークで悩める29歳が再起のきっかけをつかめるか注目しよう。
文●中村光佑
【動画】メドベージェフVSウォルトンの「シンシナティ・オープン」2回戦ハイライト
【関連記事】シナー&アルカラスの2強時代に元1位メドベージェフが私見。“第3の男”を侮ってはならない<SMASH>
【関連記事】「絶対に許されるべきではない行為」名コーチが試合中のメドベージェフの行動を痛烈に批判<SMASH>
7月末の「ムバダラ・シティDC・オープン」(アメリカ・ワシントンDC/ATP500)ではベスト8に進出するも準々決勝でコレンティン・ムテ(フランス/現44位)に敗退。直後の「ナショナルバンク・オープン」(カナダ・トロント/ATP1000)では3回戦で前年覇者のアレクセイ・ポピリン(オーストラリア/現19位)に敗れ、現在開催中の「シンシナティ・オープン」(8月7日~18日/アメリカ・シンシナティ)では初戦の2回戦でアダム・ウォルトン(オーストラリア/同85位)に逆転負けを喫した。
オハイオ州(シンシナティの開催地)を襲った酷暑の下、ウォルトンとの約2時間半にも及ぶ激闘の末に敗れたメドベージェフは心身共に完全に消耗しきった様子だった。試合後はコートサイドの椅子に腰掛け、水のボトルを片手に足を投げ出して虚ろな表情でコートを見つめていた。
四大大会に次ぐグレードのATP1000に属するカナダ・マスターズとシンシナティではそれぞれ1度ずつ優勝を経験しているメドベージェフだが、昨年はいずれも初戦敗退に終わり、今年も両大会を通じてわずか1勝にとどまった。
ちなみに今季のメドベージェフは全豪オープンで2回戦敗退、全仏オープンとウインブルドンで1回戦敗退と四大大会では1勝しかできておらず、ツアーでも決勝進出は1大会のみ。現在は最終戦レースランキングでも圏外の19位に沈んでおり、2020年に優勝した「Nitto ATPファイナルズ」(11月9日~16日/イタリア・トリノ/ハード/FIN)への7年連続出場にも黄色信号が灯っている。
23年5月の「イタリア国際」(クレー/ATP1000)を制して以来ツアー優勝から遠ざかっているメドベージェフは、ウォルトン戦後のインタビューで自分を見失いつつある苦しい現状を嘆きながらも必死に前を向いた。
「こういう環境下では、フィジカル的に全てが非常に厳しくなる。それが今の最優先課題だ。ただ今は全く自信がない。もし身体とフィジカルが自分を見捨ててしまったら、どんなショットを打っても自分を救えない」
「全てがとてももどかしいし、失望も大きい。今は厳しい時期だ。それでもこのスポーツではこういうことも起きる。今できるのは、解決策を探し続けることだけだ。まだ答えは見つかっていないし、それを見出すにはかなり時間がかかりそうだが、いつかは必ずたどり着くはず。暑さの中でプレーするのは誰にとっても難しいが、なぜそれが以前より難しくなっているのかが自分でもわからない。原因を突き止める必要があるが、まだそれができていない」
メドベージェフが次に臨むのは今季最後の四大大会「全米オープン」(8月24日~9月7日)。21年大会でノバク・ジョコビッチ(セルビア/現6位)の年間グランドスラム(同一シーズンで四大大会全てを制覇すること)を阻止し、悲願の四大大会初優勝を飾った思い出の舞台だ。ニューヨークで悩める29歳が再起のきっかけをつかめるか注目しよう。
文●中村光佑
【動画】メドベージェフVSウォルトンの「シンシナティ・オープン」2回戦ハイライト
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