多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す『セルフジャッジ』でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単だ」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。
そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。
今回は「ショットクロック」(ポイント間の時間を計測するための時計)についてです。プロの試合にはショットクロックが存在しますが、セルフジャッジの大会では審判がいないため時間を計れません。では、相手が必要以上にポイント間で時間をかけている場合は、どのように対応すればよいのでしょうか...。
◆ ◆ ◆
セルフジャッジで行なわれる草トーナメントではショットクロックはありませんが、「ポイント間は25秒」というのはルールで決まっています。この時間はポイント終了から、次のポイントを始める準備のための時間です。ゆえにボールを速やかに拾い、次のポイントの準備をしなければなりません。
ただ、ボールパーソン不在の試合で、隣のコートにボールを拾いに行って25秒を超えてしまってもバイオレーションにはなりません。逆にノロノロとボールを拾いに行き、コートに戻っても、今度はタオルで汗を拭いたり、水を飲んだりと時間稼ぎをするのは違反で、「継続的なプレー」の妨げとなります。ポイント間の25秒は休憩に使える時間ではないのです。
なお、セルフジャッジの試合でそうしたケースに遭遇しても、こちらから相手にタイムバイオレーションを科すことはできません。
相手のプレーを始めるのが遅くても、「まだですか?」と声をかける程度です。それでも相手が必要以上にポイント間に時間をかけるようなら、ロービングアンパイア(セルフジャッジの試合会場を巡回している審判またはレフェリー)を呼んで試合を見てもらいましょう。ロービングが「遅い」と判断したら「もう少し早く進めてください」と声掛けすると思います。
ダブルスの試合などでは、ポイント間に作戦会議をするペアをよく見かけます。それが「次は前に出るよ」とか「ポーチを狙おう」といった一言二言の打ち合わせ程度ならいいですが、「ああでもない、こうでもない」と長々と話し合うことはルール違反です。
解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。日本テニス協会理事。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2025年3月号より抜粋・再編集
【画像】「その判定、ちょっと待った!」試合で見かけるトップ選手と審判の熱いやりとり
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なお、セルフジャッジの試合でそうしたケースに遭遇しても、こちらから相手にタイムバイオレーションを科すことはできません。
相手のプレーを始めるのが遅くても、「まだですか?」と声をかける程度です。それでも相手が必要以上にポイント間に時間をかけるようなら、ロービングアンパイア(セルフジャッジの試合会場を巡回している審判またはレフェリー)を呼んで試合を見てもらいましょう。ロービングが「遅い」と判断したら「もう少し早く進めてください」と声掛けすると思います。
ダブルスの試合などでは、ポイント間に作戦会議をするペアをよく見かけます。それが「次は前に出るよ」とか「ポーチを狙おう」といった一言二言の打ち合わせ程度ならいいですが、「ああでもない、こうでもない」と長々と話し合うことはルール違反です。
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17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。日本テニス協会理事。
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