女子テニスでダブルス世界ランキング１位のテイラー・タウンゼント（アメリカ）が、自身のSNSへの軽率な投稿で強い批判を浴びていることを受け、謝罪の意を表明した。

　現在開催中の女子国別対抗戦「ビリー・ジーン・キング・カップ・ファイナルズ」（９月16日～21日／中国・深セン／室内ハードコート）にアメリカ代表として出場する29歳のタウンゼントは、現地のホテルで提供された選手向けの料理を映した数本の動画を自身の公式インスタグラムに投稿。

　そのうちの１本では、カエルやカメ、ナマコなどを使った料理を撮影しながら「これまで見た中で最もクレイジーな料理ね。こんな物を食べている人たちがいるなんて...」と言い放った。別の動画でも「人々は文字通りカエルを殺してそれを調理している。これって毒はないのかしら？ イボとか膿を引き起こすやつだったりして...」などと料理の安全性を疑問視するコメントを残していた。

　動画はすでに削除されているが、彼女の一連の発言は中国国内で強く批判され、ネット上でも「人種差別に当たるのではないか」と大きな反発を呼んだ。『AFP通信』によると、「米国人テニス選手が中国料理を公然と侮辱」とのハッシュタグが同国のミニブログサイト「ウェイボー」でトレンド入りし、すでにのべ5,000万回以上閲覧されている。
  　これを受けてタウンゼントは17日に新たな動画を投稿し（こちらも現在は削除）、自身の発言をこう謝罪した。

「プロのアスリートとして世界各地を訪れ、様々な文化に触れられることは本当に恵まれた経験だと思っています。それこそが私がこの仕事をする中で最も楽しんでいることの１つです。ここでは素晴らしい時間を過ごしていて、皆さんも非常に親切で温かく接してくれました。それにもかかわらず私の発言は、その感謝の気持ちや体験を全く表現できていませんでした。心よりお詫び申し上げます」

　タウンゼントと言えば、先日の「全米オープン」シングルス２回戦で、ネットインのボールを謝罪しなかったことなどを理由に、対戦相手のエレナ・オスタペンコ（ラトビア／現24位）から「品格も教養もない！」と試合後に噛みつかれ、オスタペンコは一部から人種差別的だと糾弾されていた。しかし今度は、皮肉にもタウンゼントが同様の批判を浴びることとなってしまった。

　ちなみに中国について選手の発言やジョークが問題視されたケースは今回が初めてではない。昨年10月に新型コロナウイルス感染拡大以降初めて開催された「武漢オープン」（ハード／WTA1000）に出場したマグダ・リネッテ（ポーランド／現37位）も、北京から武漢へ移動する際にSNSで「ウイルスデータベースが更新された」と投稿して物議を醸し、試合中にはリネッテが観客から敵意を向けられる場面も見られた。

　こうなるとタウンゼントも、本日18日に行なわれるアメリカ対カザフスタン戦で観客からどのような反応を受けるのか気になるところではある。

文●中村光佑

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