中国の大会で1日に5名の棄権者が出たことで、テニス界で話題になっているのが、過密スケジュールやトップ選手が出場しなくてはいけない義務大会の数の多さです。改善されなかった場合、選手は自分を守るためにどう対応するようになるのでしょうか。
罰金を払って休むか、少しでも違和感を感じたら医者の診断書を取り大会を棄権したり、大会会場が近ければ、現地には行ってイベントに参加して試合に出場はしないという方法もあります。
ただ、気持ちよい方法とは言えません。選手の身体のことを考えるなら、義務大会の数を減らしたり、シーズンを短くする方法を議論していくことも必要だと思います。
そんな中、アジアシリーズでボールが可能な範囲で統一されました。これは画期的なことですね。毎週環境が変わると選手はそれにアジャストしなくてはいけないため、身体に負担がかかります。ボールが同じでも気候によって飛びに違いが出ますが、それでも同じボールである方が対応しやすいのは確かです。
欲を言えば、サーフェスのスピードも近い状態にしてくれれば、選手にとっては助かります。同じサーフェスの種類でも大会によって違いがありますが、できるだけ似せる努力はしてほしいところです。ツアースケジュールをすぐに変えることが無理でも、選手がいなければツアーは成り立ちませんから、選手の心身の健康を最優先して、できることから取り組んでいってほしいですね。
さて、トップ選手の出場義務大会数についてですが、男子が12大会、女子が16大会で、グレード1000と500の数大会です。
私は年間で一番多かった出場大会数が31大会ぐらいでした。この時はほぼオフシーズンがありませんでした。現在、大会数が多い選手は30大会以上出ていますが、23、24大会ぐらいの選手が多いのではないでしょうか。トップ選手は20大会ぐらいですね。この大会数にグランドスラムが加わりますし、1000の大会の期間が長くなったのも、トップ選手の少なめな大会数に影響しているかもしれません。
ファーストキャリアの時、私は出場する大会数が少ない方で、年によっては18大会ぐらいのこともありました。少ない大会数で上位をキープできたのは、当時のランキングポイントのお陰です。トップ10の選手に勝つとボーナスポイントがありました。私はトップ10キラーでしたから、このポイントが大きかったです。
ただし、1回戦で負けると1ポイントしか入らなかったため、1回戦敗退が怖かったですね。だから、1回戦は必死で戦っていました。どうしてこのシステムがなくなってしまったのかはわかりません。このシステムなら、体調が悪くても1回戦に出場するだけして、あっさり負けて賞金は受け取るという問題は起きないと思います。
棄権を少なくするために、スケジュールだけではなくランキングシステムについても考えてみる価値はあるかもしれません。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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罰金を払って休むか、少しでも違和感を感じたら医者の診断書を取り大会を棄権したり、大会会場が近ければ、現地には行ってイベントに参加して試合に出場はしないという方法もあります。
ただ、気持ちよい方法とは言えません。選手の身体のことを考えるなら、義務大会の数を減らしたり、シーズンを短くする方法を議論していくことも必要だと思います。
そんな中、アジアシリーズでボールが可能な範囲で統一されました。これは画期的なことですね。毎週環境が変わると選手はそれにアジャストしなくてはいけないため、身体に負担がかかります。ボールが同じでも気候によって飛びに違いが出ますが、それでも同じボールである方が対応しやすいのは確かです。
欲を言えば、サーフェスのスピードも近い状態にしてくれれば、選手にとっては助かります。同じサーフェスの種類でも大会によって違いがありますが、できるだけ似せる努力はしてほしいところです。ツアースケジュールをすぐに変えることが無理でも、選手がいなければツアーは成り立ちませんから、選手の心身の健康を最優先して、できることから取り組んでいってほしいですね。
さて、トップ選手の出場義務大会数についてですが、男子が12大会、女子が16大会で、グレード1000と500の数大会です。
私は年間で一番多かった出場大会数が31大会ぐらいでした。この時はほぼオフシーズンがありませんでした。現在、大会数が多い選手は30大会以上出ていますが、23、24大会ぐらいの選手が多いのではないでしょうか。トップ選手は20大会ぐらいですね。この大会数にグランドスラムが加わりますし、1000の大会の期間が長くなったのも、トップ選手の少なめな大会数に影響しているかもしれません。
ファーストキャリアの時、私は出場する大会数が少ない方で、年によっては18大会ぐらいのこともありました。少ない大会数で上位をキープできたのは、当時のランキングポイントのお陰です。トップ10の選手に勝つとボーナスポイントがありました。私はトップ10キラーでしたから、このポイントが大きかったです。
ただし、1回戦で負けると1ポイントしか入らなかったため、1回戦敗退が怖かったですね。だから、1回戦は必死で戦っていました。どうしてこのシステムがなくなってしまったのかはわかりません。このシステムなら、体調が悪くても1回戦に出場するだけして、あっさり負けて賞金は受け取るという問題は起きないと思います。
棄権を少なくするために、スケジュールだけではなくランキングシステムについても考えてみる価値はあるかもしれません。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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