専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

【伊達公子】賞金額は上がりスケジュールは過密に。シーズンの長さも厳しい<SMASH>

伊達公子

2025.11.07

「棄権する選手が多いのは様々な要素が絡み合っている」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「棄権する選手が多いのは様々な要素が絡み合っている」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 少し前に中国の大会で1日に5人の棄権者が出たことで、テニスツアーの過密スケジュールが話題になっています。ただ、過密スケジュールは今年に限ったことではありません。

 シーズン終盤のアジアシリーズは疲労が溜まっている頃ですし、グランドスラムも終わりモチベーションも下がり始めています。また、アメリカやヨーロッパの選手にとっては、普段は移動距離が短いですがアジアに来るには移動の負担も大きくなります。つまり、棄権する選手が多いのは、様々な要素が絡み合っているためです。

 そして、選手にとっては過密スケジュールになっているとは思いますが、同時に賞金額も上がっているため、過密スケジュールだけを改善しようとするのは、なかなか難しいでしょう。

 トップ選手になると、出場した大会で後半にまで進みやすく試合数も多くなりますから、より過密だと感じるものです。義務で出場が決まっている大会もありますし、それに出なかった場合の罰金も上のランクの人の方が高額です。

 現状ではトップ選手の義務大会が男子だと12大会で、女子は16大会です。その内の多くはグレード1000の大会ですし、それを中心に出るようにスケジュールを組めば、できないわけではありません。ただ、調子を崩した時など、変化を加えたい時に対応しづらいのは難しい点です。
 
 過密スケジュールが続くと、ケガのリスクが高くなりますし、精神的にも休まることがありません。風邪も引かないように体調管理をしながら、良い精神状態をキープしなくてはいけないのはハードです。完全に緊張から抜けるのはオフの時ですから、シーズンが長いのもつらいですね。

 私のファーストキャリアの頃と比較すると、シーズンの終わりは遅くなり、始まりは早くなっていてシーズンが長くなっています。シーズン終盤はよりフィジカル的にも精神的にも厳しく感じるでしょう。

 オフが短いと十分な身体作りができず、完全に良い状態に戻せません。そうなると、ツアー中はフィジカルの状態は徐々に落ちていきますから、ケガのリスクが高くなってしまいます。選手にとっては、ツアー中の過密さもですが、シーズンの長さも問題なのだと思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

【画像】東レPPO準々決勝ルバキナ×エムボコを厳選ショットでお届け!

【関連記事】シフィオンテクがWTAの過酷なスケジュールを批判。「テニスが楽しくなくなってしまう」<SMASH>

【関連記事】多くの選手から不満の声が上がるツアーの過密スケジュール。アルカラスも「義務的な大会が多すぎる」と苦言<SMASH> 
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号

  • soccer_digest

    11月10日(月)発売

    定価:800円 (税込)
  • world_soccer_digest

    11月6日(木)発売

    定価:980円 (税込)
  • smash

    10月21日(火)発売

    定価:800円 (税込)
  • dunkshot

    10月16日(木)発売

    定価:1650円 (税込)
  • slugger

    9月24日(水)発売

    定価:1100円 (税込)