2023年の全豪オープンで4強入りした元世界ランキング19位のマグダ・リネッテ(ポーランド/33歳/現55位)が、今季の終盤にかけて「燃え尽き症候群」との戦いに直面していたことを明かした。ポーランドの公共放送系メディア『TVP Sport』が報じている。
今季前半のリネッテは安定したパフォーマンスを見せていた。3月のWTA1000「マイアミ・オープン」(ハード)、5月のWTA500「ストラスブール国際」(クレー)で8強入り。芝シーズンにはWTA250「ノッティンガム・オープン」で準決勝に進み、シーズンの流れは決して悪くなかった。
だが夏以降、状況は一変する。8月の四大大会「全米オープン」(ハード)から5大会連続で初戦敗退。10月13日のWTA500「寧波オープン」(ハード)1回戦でベリンダ・ベンチッチ(スイス)にストレート負けを喫すると、リネッテは25年シーズンの終了を発表した。
その背景にあったのが、長引く体調不良と精神的な疲弊だったという。
「シーズンを通して、何度も戻ってはまた離脱を繰り返していた。健康上の問題が多く、いつも何かが治りきっていなかった。抗生物質を飲みながら、義務として出なければならない大会もあった。だから『病気でもなんとかなる』と思い込んでいた」
全米オープンに続いて初戦で敗れたWTA500「グアダラハラ・オープン」(ハード)については、出場自体を悔やんでいる。
「しっかり準備できていなかった。そこにいるべきではなかった気がする。今にして思えば、あの遠征は不要だった。特にすぐあとに中国への移動が控えていたから。大事な場面で全てが崩れた。それが、自分を止めてケアすべきサインだった」
ツアーでは、精神的な疲弊から立ち止まる選手が少なくない。代表的な一人が、アマンダ・アニシモワ(アメリカ)だ。彼女はメンタル面の不調のため23年にツアー離脱を決断し、約8カ月間、テニスから完全に距離を置いた。家族や友人と過ごし、大学の講義に出席し、絵画やチャリティ活動にも打ち込んだ。そうした「普通の生活」を経て、テニスへの情熱を取り戻した。
「私は自分自身について多くのことを学んだ。コートの外での興味についても、そして少し立ち止まって、普通の生活を送る時間の大切さについても。大切なのは、自分自身の声に、直感に、そして身体の声に正直に耳を傾けることだと学んだわ」――そう語ったアニシモワは、復帰後わずか1年でWTA1000大会を制覇し、やがて四大大会決勝の舞台に2度も立った。
リネッテもまた、シーズンを早めに切り上げる決断で、自身の限界と向き合った。現在は休養期間に入り、26年初頭の復帰を目指す意向だという。来季初めのオーストラリアシリーズでは守るポイントも少なく、再出発には恵まれた条件が揃う。「健康な状態で、そして新しい視点をもって戻ってきたい」と前を向いた。
構成●スマッシュ編集部
【動画】リネッテが4強入りした「2023年全豪オープン」の好プレー集
【関連記事】アニシモワ、燃え尽き症候群から奇跡の復活でウインブルドン決勝進出!「たった1年でこれだけ好転するとは」<SMASH>
【関連記事】「これは私にとって大きな意味があります」女子テニスのスチアディが突発性難聴を発症後に待望の優勝!<SMASH>
今季前半のリネッテは安定したパフォーマンスを見せていた。3月のWTA1000「マイアミ・オープン」(ハード)、5月のWTA500「ストラスブール国際」(クレー)で8強入り。芝シーズンにはWTA250「ノッティンガム・オープン」で準決勝に進み、シーズンの流れは決して悪くなかった。
だが夏以降、状況は一変する。8月の四大大会「全米オープン」(ハード)から5大会連続で初戦敗退。10月13日のWTA500「寧波オープン」(ハード)1回戦でベリンダ・ベンチッチ(スイス)にストレート負けを喫すると、リネッテは25年シーズンの終了を発表した。
その背景にあったのが、長引く体調不良と精神的な疲弊だったという。
「シーズンを通して、何度も戻ってはまた離脱を繰り返していた。健康上の問題が多く、いつも何かが治りきっていなかった。抗生物質を飲みながら、義務として出なければならない大会もあった。だから『病気でもなんとかなる』と思い込んでいた」
全米オープンに続いて初戦で敗れたWTA500「グアダラハラ・オープン」(ハード)については、出場自体を悔やんでいる。
「しっかり準備できていなかった。そこにいるべきではなかった気がする。今にして思えば、あの遠征は不要だった。特にすぐあとに中国への移動が控えていたから。大事な場面で全てが崩れた。それが、自分を止めてケアすべきサインだった」
ツアーでは、精神的な疲弊から立ち止まる選手が少なくない。代表的な一人が、アマンダ・アニシモワ(アメリカ)だ。彼女はメンタル面の不調のため23年にツアー離脱を決断し、約8カ月間、テニスから完全に距離を置いた。家族や友人と過ごし、大学の講義に出席し、絵画やチャリティ活動にも打ち込んだ。そうした「普通の生活」を経て、テニスへの情熱を取り戻した。
「私は自分自身について多くのことを学んだ。コートの外での興味についても、そして少し立ち止まって、普通の生活を送る時間の大切さについても。大切なのは、自分自身の声に、直感に、そして身体の声に正直に耳を傾けることだと学んだわ」――そう語ったアニシモワは、復帰後わずか1年でWTA1000大会を制覇し、やがて四大大会決勝の舞台に2度も立った。
リネッテもまた、シーズンを早めに切り上げる決断で、自身の限界と向き合った。現在は休養期間に入り、26年初頭の復帰を目指す意向だという。来季初めのオーストラリアシリーズでは守るポイントも少なく、再出発には恵まれた条件が揃う。「健康な状態で、そして新しい視点をもって戻ってきたい」と前を向いた。
構成●スマッシュ編集部
【動画】リネッテが4強入りした「2023年全豪オープン」の好プレー集
【関連記事】アニシモワ、燃え尽き症候群から奇跡の復活でウインブルドン決勝進出!「たった1年でこれだけ好転するとは」<SMASH>
【関連記事】「これは私にとって大きな意味があります」女子テニスのスチアディが突発性難聴を発症後に待望の優勝!<SMASH>