海外テニス

2本柱不在のイタリアがスペインを下しデ杯3連覇! ヒーローのコボッリは「どうやって勝てたのかわからない」<SMASH>

中村光佑

2025.11.24

デ杯3連覇を飾ったスペイン。チャレンジラウンド制廃止以降では初の快挙だ。(C)Getty Images

 男子テニス国別対抗戦「デビスカップ(デ杯)・ファイナル8」(11月18日~23日/イタリア・ボローニャ/室内ハードコート)は最終日の現地23日に決勝を実施。イタリアがスペインを2勝0敗で下し、殊勲の大会3連覇を成し遂げた。

 ファイナル8は8カ国によるトーナメント形式。各対戦ではシングルス2試合とダブルス1試合が行なわれ、先に2勝した方が勝利となる。イタリアは準々決勝でオーストリア、準決勝でベルギーを破って3年連続の決勝へ進出。対するスペインは準々決勝でチェコに、準決勝でドイツに勝利し、6年ぶり11度目の決勝へ駒を進めていた。

 迎えた決勝戦、イタリアはシングルス第1試合で元世界6位のマテオ・ベレッティーニ(現56位)が、パブロ・カレノブスタ(同89位)に6-3、6-4で快勝。続く第2試合では今季ツアー2勝のフラビオ・コボッリ(同22位)が2時間56分の大激戦の末にジャウメ・ムナール(同36位)を1-6、7-6(5)、7-5で下し、イタリアの勝利が確定。母国ファンと共に歓喜の瞬間を迎えた。

 同一国のデ杯3連覇は、1968~1972年のアメリカ以来史上2カ国目の快挙。72年にチャレンジラウンド(その年の優勝国が前年優勝国に挑戦)が撤廃されてからは初めてとなる。

 今大会のイタリアはヤニック・シナー(現2位)とロレンツォ・ムゼッティ(同8位)の2枚看板不在の中、持ち前の層の厚さで歴史的偉業をつかみ取った。中でも23歳のコボッリは準決勝のベルギー戦でジゾー・ベルグス(同43位)を相手に6-3、6-7(5)、7-6(15)と計32ポイントにも及ぶ最終セットタイブレークを制し、決勝でも3時間近いマラソンマッチを物にする抜群の勝負強さを発揮した。
 
 海外メディア『UBITENNIS』によると、優勝後のメディア対応でコボッリは決勝で対戦したムナールを称えつつ、次のように喜びを語った。

「この気持ちは言葉では表せない。ずっとこの結果を夢見ていた。今日はどうやって勝てたのかわからないくらいタフだったし、ジャウメも本当に良いプレーをしていたと思う。僕もチームのために全てを出し切り、最終的に素晴らしい結果をもたらせた」

 併せてフィリッポ・ボランドリ代表監督(44歳/元世界25位)のコメントも紹介。01年から10年まで選手としてデ杯に出場していた彼は、21年に伊代表監督に就任。以来、チームは今大会を含め24戦21勝という圧倒的な勝率を誇っている。

「信じられない結果だ。今年は想像以上に厳しい瞬間が多かったが、このチームにはそれを乗り越える力があった。欠場したシナーやアルナルディ(現63位)、ムゼッティの存在も大きく、彼らも一緒に戦ってくれているように感じた。団結力が強くなければ、この結果は成し遂げられなかった。本当に素晴らしい」

 一方敗れたスペインは惜しくも19年以来7度目のデ杯優勝はならず。それでもエースのカルロス・アルカラス(現1位)を欠きながら決勝まで進んだ結果に、ダビド・フェレール監督(元3位/43歳)は「本当に楽しかったし、素晴らしい大会になった」と満足気に総括した。

文●中村光佑

【動画】ベレッティーニとコボッリが連勝してイタリアが3連覇! 2025デビスカップ決勝ハイライト

【関連記事】ATP最終戦で右大腿を痛めたアルカラスがデ杯ファイナル8欠場を表明「本当に残念です」<SMASH>

【関連記事】シナーが母国開催のデビスカップ欠場を表明。理由は「オーストラリアで良いスタートを切るため」<SMASH>
 
NEXT
PAGE
【動画】ベレッティーニとコボッリが連勝してイタリアが3連覇! 2025デビスカップ決勝ハイライト