女子テニス元世界ランキング1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/現2位)が、英紙『The Guardian』のインタビューに応じ、2026年シーズンの大会出場数を減らす意向を示した。
そのきっかけとなったのが、今年9月下旬に行なわれた男女共催のツアー公式戦「中国オープン」(ハードコート/ATP500・WTA1000)の女子3回戦と男子準々決勝で発生した“異常事態”だった。
女子3回戦と男子準々決勝において、シフィオンテクと対戦したカミラ・オソリオ(コロンビア/大会時83位)、ロイス・ボワソン(フランス/同41位)、ジェン・チンウェン(中国/同9位)の3名が途中棄権。男子でもヤクブ・メンシク(チェコ/同19位)とロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同9位)の2名がリタイアし、男女合わせて5名が同日に棄権するという前代未聞に近い出来事が起こった。
これまで何度もツアーの過密日程を糾弾してきた24歳のシフィオンテクは、上記の異常事態を受け、3回戦勝利後の記者会見で改めて選手の健康を考慮しないテニス界の現状に強い危機感を示していた。「WTA(女子テニス協会)は義務的なルールを作りすぎて、スケジュールをめちゃくちゃにしている」と、中でも男女問わず上位選手に出場義務が課されている大会の多さに強い不満を抱いている様子だった。
そこで来季は「2大会ほど欠場するつもりでいる」とのこと。具体的な大会名は明かさなかったものの、「あまりうまくプレーできていない大会を欠場することになるかもしれない」とは明かし、「その期間を使って練習を積み、技術を磨きたい。そうすることでストレスを抱えている中でも、少しは良いプレーができるようになると思うし、練習期間に身につけた正しい動きを身体も学んでくれるはず」とシフィオンテクは説明した。
24歳はこうも語る。「それによって精神面も整い、多くの自信を与えてくれると思う。しっかり練習したという実感も持てる上に、大会に向け、より良い準備をして臨めるようにもなるはず。今みたいに必須大会の全てに出場するとなると、多くの選手が“毎回100%の状態で準備できない”と言うと思う」
ちなみに現行の女子ツアーの規定では、上位選手でケガや病気などの問題がない場合、シーズンを通して一定数の大会に出場する義務がある。これには全四大大会とそれに次ぐグレードのWTA1000の9大会、また出場資格を得た場合はシーズン最終戦「WTAファイナルズ」も加わってくる。
さらにトップ選手にはWTA500においても4大会の出場義務が設けられており、うち1大会は全米オープン後に出場しなければならない。これらの規定に正当な理由なく従わなかった場合、ランキングポイントが減点される可能性がある。
そのリスクも承知で出場数削減に踏み切ろうとしているシフィオンテク。近年は一部のWTA1000大会で開催期間が従来の1週間から2週間に拡張されるなど、以前よりも選手への肉体的・精神的負担が増大している中、彼女のようなトップ選手が“働き方”を見直す姿勢を示したことは、テニス界にとっても大きな意味を持つ。
文●中村光佑
【画像】シフィオンテクはじめ全米オープン2025を戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
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これまで何度もツアーの過密日程を糾弾してきた24歳のシフィオンテクは、上記の異常事態を受け、3回戦勝利後の記者会見で改めて選手の健康を考慮しないテニス界の現状に強い危機感を示していた。「WTA(女子テニス協会)は義務的なルールを作りすぎて、スケジュールをめちゃくちゃにしている」と、中でも男女問わず上位選手に出場義務が課されている大会の多さに強い不満を抱いている様子だった。
そこで来季は「2大会ほど欠場するつもりでいる」とのこと。具体的な大会名は明かさなかったものの、「あまりうまくプレーできていない大会を欠場することになるかもしれない」とは明かし、「その期間を使って練習を積み、技術を磨きたい。そうすることでストレスを抱えている中でも、少しは良いプレーができるようになると思うし、練習期間に身につけた正しい動きを身体も学んでくれるはず」とシフィオンテクは説明した。
24歳はこうも語る。「それによって精神面も整い、多くの自信を与えてくれると思う。しっかり練習したという実感も持てる上に、大会に向け、より良い準備をして臨めるようにもなるはず。今みたいに必須大会の全てに出場するとなると、多くの選手が“毎回100%の状態で準備できない”と言うと思う」
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さらにトップ選手にはWTA500においても4大会の出場義務が設けられており、うち1大会は全米オープン後に出場しなければならない。これらの規定に正当な理由なく従わなかった場合、ランキングポイントが減点される可能性がある。
そのリスクも承知で出場数削減に踏み切ろうとしているシフィオンテク。近年は一部のWTA1000大会で開催期間が従来の1週間から2週間に拡張されるなど、以前よりも選手への肉体的・精神的負担が増大している中、彼女のようなトップ選手が“働き方”を見直す姿勢を示したことは、テニス界にとっても大きな意味を持つ。
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