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海外テニス

アルカラスの快進撃を支える心理的余裕!フェデラーの元コーチが考えるビッグ3が変えた優勝回数の基準<SMASH>

中村光佑

2026.02.06

フェデラーの元コーチであるリュビチッチ氏(左)は、ビッグ3が塗り替えた勝利の基準によりアルカラスら若い世代の心理に大きな影響を与えていると見る。(C)Getty Images

フェデラーの元コーチであるリュビチッチ氏(左)は、ビッグ3が塗り替えた勝利の基準によりアルカラスら若い世代の心理に大きな影響を与えていると見る。(C)Getty Images

 先日行なわれたシーズン最初のテニス四大大会「全豪オープン」の男子シングルスでは、世界ランキング1位に君臨するカルロス・アルカラス(スペイン)が殊勲の初優勝。史上最年少となる22歳272日での“生涯グランドスラム”(全四大大会制覇)をも達成した。

 それだけではない。今回の優勝でアルカラスは1968年のオープン化以降で四大大会男子シングルス7勝目を最年少で手にした選手にもなった。これまでの最年少記録は、1979年全仏オープンにて23歳4日で7勝目を挙げたビヨン・ボルグ(スウェーデン/元1位)だった。

 これらの偉業を受け、2022年に現役を引退した元世界王者ロジャー・フェデラー(スイス)の元コーチであるイワン・リュビチッチ氏(クロアチア/46歳)が、スペインメディア『Punto de Break』などを通じ、アルカラスら現代の選手が置かれている時代背景について興味深い見解を示した。

 そこで語られた「今の方が四大大会を優勝しやすい状況にある」という言葉は、あくまでも競技レベルが下がったという意味ではない。リュビチッチ氏が指摘するのは、“ビッグ3”(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ)が築いた前例によって、到達すべき四大大会優勝回数の基準そのものが引き上げられ、それが次代の選手のメンタル面に影響を及ぼし得るという点だ。

「フェデラー、ナダル、ジョコビッチの3人が成し遂げた20度以上の四大大会優勝は、今の時代に22歳で7勝を挙げることを、以前よりも現実的なものにしている」

 かつてはピート・サンプラス(アメリカ/元1位)が記録した四大大会14勝を超える者は誰もいないと言われていた。「テニス界全体で14勝に到達しなければならないという意識が自然と共有されていた」とリュビチッチ氏は当時を振り返りながら語る。
 
 しかしその後、この“到達点”と見なされていた基準を、フェデラー、ナダル、ジョコビッチの3人が相次いで塗り替えていった。やがて20勝を超える時代まで切り拓いたことで、四大大会優勝回数の物差しは、さらに高い水準へと引き上げられた。リュビチッチはこうした背景が、若い世代の心理に大きな影響を与えていると見る。

「メンタルの観点から言えば、『四大大会7勝は驚くべき数字ではなく、今なら25勝を目指さなければならない』と考えるようになる。目標回数が10勝前後だった時代に7勝するのとは、意味合いが全く違う」

 つまりリュビチッチの言う「楽」とは、一つの“目標値”が引き上げられたことによって生まれる心理的余裕を指している。ボルグが若くして四大大会7勝を挙げた当時、それはほぼ限界点に近い数字だったが、現在では7勝は通過点として捉えられるというわけだ。

 無論リュビチッチの発言は、アルカラスの偉業を軽んじるものではない。むしろ、ビッグ3が残した前例があるからこそ、彼はより高い目標を見据え、迷いなく歩みを進められているという評価だ。前人未到とされてきた記録が打ち破られた時代を経て、次なる世代は「不可能という前提を持たない」立場に立っている。今やアルカラスのキャリアは、その最初の実例となりつつある。

文●中村光佑

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