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海外テニス

韓国テニス界期待の新星クォン・スンウとは?「いつだって絶対に諦めない」不屈の精神を持つ22歳

誉田優

2020.02.29

急成長で注目を集めるクォン。(写真は全豪オープン)(C)GettyImages

急成長で注目を集めるクォン。(写真は全豪オープン)(C)GettyImages

 今シーズンが始まってはや3カ月。日本の西岡良仁の活躍が目立つアジアテニス界だが、もうひとり、急成長を見せて注目を集めるアジア人テニスプレーヤーがいる。

 韓国期待の22歳、クォン・スンウだ。昨シーズン前半には、下部ツアーを主戦場としていたクォンだが、プロ5年目の今シーズン、ツアーレベル4大会連続でベスト8に進出し、ニューヨーク・オープンではミロシュ・ラオニッチを破るなど、勢いに乗っている。

 現在開催中のメキシコ・オープンでは、1回戦で日本のダニエル太郎を破り、ATP500レベルでの初白星を挙げると、続く2回戦でも世界24位の第8シード、ドゥサン・ラヨビッチを相手にストレートで勝利。準々決勝で憧れの選手という、世界ランク2位のラファエル・ナダルと対戦し、2-6、1-6で敗北した。

 韓国人選手の中で、今、最も力をつけているクォン。10歳の時に初めてラケットを握ったという彼は、ナダルとロジャー・フェデラーに憧れ、いつの日か彼らと対戦することを夢見ていた。そしてついに韓国トップランカーとなり、ナダルとの対戦を果たしたのだ。
 
 スコア上では大差となったが、非常に攻撃的なスタイルで、かのナダルを相手にストロークで打ち勝つ場面もあった。得意とするフォアハンドと、ドロップショットを効果的に織り交ぜてポイントを重ね、試合を通して8度のブレークチャンスを得たが、それでも世界2位の壁は厚かった。

 クォンの強みは、不利な状況でも屈しない精神力だ。2019年のウィンブルドン選手権では、当時世界9位だったロシアのカレン・ハチャノフと対戦し、敗れてしまったものの2セットダウンから粘りを見せた。「不利な状況からでも決して諦めずに挑戦し続けた。この時の経験から、いつだって、絶対に諦めないということを学んだんだ。試合が終わって握手する時まで僕は戦い続ける」と語る。

 そんな彼だが、若者らしい表情を見せる場面もある。彼の趣味はテレビゲームなのだ。夕食後のプレイステーションを楽しんでいるというクォン。ゲームをしない日は、翌日の対戦相手のビデオを見て、試合に備えているという。ATPランキング10位を目指すと公言するクォンの、実直な姿が伺える。

 次戦は3月12日に開幕する『BNPパリバ・オープン』を予定しているクォン。隣国の若き才能は、世界をしっかりと見据えている。

文●誉田優
フリーライター。早稲田大学スポーツ科学部卒業。
Twitter:yu__honda/Instagram:yu__honda
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