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海外テニス

想定外の3連敗。エクアドルが持ち込んだ”覚悟”と”不安”に揺れた日本【男子テニス/デビスカップ予選】

内田暁

2020.03.07

大会2日目の初戦に登場した内山/マクラクラン組は、エクアドルのサウスポーコンビを攻略できず敗退。これにより日本は3連敗となりファイナル予選敗退が決まった(C)GettyImages

大会2日目の初戦に登場した内山/マクラクラン組は、エクアドルのサウスポーコンビを攻略できず敗退。これにより日本は3連敗となりファイナル予選敗退が決まった(C)GettyImages

 デビスカップの勝敗の行方を、ランキングで占うことはできない――。

 これまで世界の至るところで実証されてきたその真理を、日本チームは身をもって実感することとなった。

 日本は、エースの錦織圭と西岡良仁を欠くも、それでもシングルス90位の内山靖崇を筆頭に、添田豪が117位、ダブルスのマクラクラン勉が58位を記録する。
 対するエクアドルは、シングルス1のエミリオ・ゴメスが151位で、二番手のロベルト・キロスが276位。ダブルスはゴンサロ・エスコバルが69位で、ディエゴ・イダルゴは257位。数字だけで測るなら、日本の優位は動かないかに思われた。

 だが、シーズン序盤戦の最中であるこの時期と、選手たちの主戦場、そして団体戦かつ短期決戦のフォーマットなどの諸要素が絡み合った時、はじき出される解は、机上の計算通りとは行かない。今回の日本対エクアドル戦で言えば、その最大の不確定要素が、新型コロナウイルスに伴う世界情勢の変化だろう。
 
 無観客試合、入場者の体温チェック、ボールパーソンの手袋着用、および籠を用いたタオルの受け渡し――。

 今大会を開催するにあたり、大会運営サイドは様々な処置をとる。もちろん最優先すべきは、参戦選手への感染阻止。エクアドルチームが抱く懸念も、十分に理解できた。

 だが実際にはエクアドルチーム側からは、特にこれといった要望は無かったという。選手全員がアメリカを拠点とするエクアドルにとり、今回の来日が迷いと悩みを含む決断だったのは間違いない。それでも最終的に参戦を決めた時点で、エクアドル陣営は迷いを振り切り、覚悟を固めることができていたのだろう。
 
 新型コロナの驚異に世界中が揺れるなか、より落ち着かぬ日々を過ごしたのは、むしろ日本チームの方だったかもしれない。ツアーを主戦場にする選手たちにしてみれば、今は東京オリンピックの出場権を獲得するためにも、是が非でもランキングを上げたい時期。3月10日から始まるインディアンウェルズ、そして続くマイアミのマスターズ2大会は、その文脈上でも重要な位置付けだ。

 だが急速に拡大する各国のコロナ対策は、日本の置かれた状況を刻一刻と変えていく。特に、アメリカが日本からの渡航者に規制を設けそうな気配は、選手たちの動揺を誘った。

 単複でエースの大役を担った内山は、「絶対にそれを言い訳にはできない」と断言するも、「アメリカに行けるのだろうか」との不安を抱えていたことを否定しきれない。錦織の調整が間に合わず西岡もチームを離れるなか、初めてシングルス1を務めたことも小さくない重圧となったはずだ。
 
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