今季最後のテニス四大大会である全米オープンは、日本時間9月1日(現地8月31日)に女子シングルス1回戦が行なわれた。日本勢では、予選を勝ち上がった坂詰姫野(世界ランキング144位)が、アンヘリナ・カリニナ(ウクライナ/同51位)に6-3、6-3で勝利。グランドスラム(四大大会)本戦初勝利を挙げた。
「完勝」といって、差し支えないだろう。喜びの表出が比較的控えめだったのも、終始試合を制御していたがため。立ち上がりのサービスゲームこそ落とすも、これが試合を通して唯一許したブレーク。ポジションを高く保ち、攻守一体のストロークで機をうかがい、オープンコートが生まれたら迷わず前に出てボールを叩く。「やるべきこと」を貫徹し、自らの手でつかみ取った勝利だった。
今季の坂詰は、全豪オープンで予選を突破し四大大会デビューを果たす、格好のスタートを切った。以降もWTAツアー大会に予選から挑戦し、世界1位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)や、アレクサンドラ・イーラ(フィリピン/同18位)らトップ選手と大きな舞台で対戦。国別対抗戦BJKカップではジャスミン・パオリーニ(イタリア/同21位)相手に善戦し、自身への期待も膨らませていた。
ただ4月以降は、戦績的には苦しい時期が続く。「良かった時のイメージと重ならず、空回りした」と坂詰は振り返った。
だからこそ今大会の予選に挑む時には、やるべきことを明確化した。
「本当にシンプルに、打ち込まれても引かない。ちゃんと打ち合い、かわしたりしない。気持ち的にも引かずにやり合うのを、今回テーマにしていた」
トップ100の選手たちは、少しでもボールが浅くなればすぐに叩いてくる。気持ちが引けば、一気呵成に畳みかけてくる。それは今季、上のステージに挑んだからこそ、肌身で知ることのできたツアーレベルの真理。世界のテニスに対抗すべく、ラケットを重くもした。
「気持ち的に引かない」と坂詰は言ったが、心持ちだけで対抗できるほど甘い世界ではないことも、彼女は知る。だからこそ、フットワークとフィジカルの強化にも、重点的に取り組んできた。
坂詰を17歳から見る、金子和宏トレーナーは言う。
「もともと足は速い方。うちに来た時から『走る』、『止まる』の練習を重ね、それをテニスの技術と連動させていった。4年前に全日本選手権で優勝した頃からは、負荷の質と量を上げていった」
長期的なビジョンの下に、段階的に強化してきたフットワークとフィジカル。コーチ陣も含めたチームの合言葉は、「動きだけは世界一を目指そう」だった。
この日の坂詰は、決まったと思われたカリニナの強打をどこまでも追い、食らいつき、難しい体勢からもボールをコートにねじ込んだ。
試合中に走った総距離は、相手は4137フィート(1.261キロメートル)。対する坂詰のそれは、5527フィート(1.685キロメートル)に達していた。
現地取材・文●内田暁
【動画】坂詰VSカリニナの「全米オープン」1回戦ハイライト!
【画像】坂詰をはじめ、全米オープン2026を戦う女子トップ選手たちの厳選フォト!
【関連記事】坂詰姫野、空回りの日々を脱し全米予選で再始動!「やるべきことをやる」シンプルさで高みを目指す<SMASH>
「完勝」といって、差し支えないだろう。喜びの表出が比較的控えめだったのも、終始試合を制御していたがため。立ち上がりのサービスゲームこそ落とすも、これが試合を通して唯一許したブレーク。ポジションを高く保ち、攻守一体のストロークで機をうかがい、オープンコートが生まれたら迷わず前に出てボールを叩く。「やるべきこと」を貫徹し、自らの手でつかみ取った勝利だった。
今季の坂詰は、全豪オープンで予選を突破し四大大会デビューを果たす、格好のスタートを切った。以降もWTAツアー大会に予選から挑戦し、世界1位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)や、アレクサンドラ・イーラ(フィリピン/同18位)らトップ選手と大きな舞台で対戦。国別対抗戦BJKカップではジャスミン・パオリーニ(イタリア/同21位)相手に善戦し、自身への期待も膨らませていた。
ただ4月以降は、戦績的には苦しい時期が続く。「良かった時のイメージと重ならず、空回りした」と坂詰は振り返った。
だからこそ今大会の予選に挑む時には、やるべきことを明確化した。
「本当にシンプルに、打ち込まれても引かない。ちゃんと打ち合い、かわしたりしない。気持ち的にも引かずにやり合うのを、今回テーマにしていた」
トップ100の選手たちは、少しでもボールが浅くなればすぐに叩いてくる。気持ちが引けば、一気呵成に畳みかけてくる。それは今季、上のステージに挑んだからこそ、肌身で知ることのできたツアーレベルの真理。世界のテニスに対抗すべく、ラケットを重くもした。
「気持ち的に引かない」と坂詰は言ったが、心持ちだけで対抗できるほど甘い世界ではないことも、彼女は知る。だからこそ、フットワークとフィジカルの強化にも、重点的に取り組んできた。
坂詰を17歳から見る、金子和宏トレーナーは言う。
「もともと足は速い方。うちに来た時から『走る』、『止まる』の練習を重ね、それをテニスの技術と連動させていった。4年前に全日本選手権で優勝した頃からは、負荷の質と量を上げていった」
長期的なビジョンの下に、段階的に強化してきたフットワークとフィジカル。コーチ陣も含めたチームの合言葉は、「動きだけは世界一を目指そう」だった。
この日の坂詰は、決まったと思われたカリニナの強打をどこまでも追い、食らいつき、難しい体勢からもボールをコートにねじ込んだ。
試合中に走った総距離は、相手は4137フィート(1.261キロメートル)。対する坂詰のそれは、5527フィート(1.685キロメートル)に達していた。
現地取材・文●内田暁
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