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海外テニス

「信頼に応えなければ…」元世界1位のロディックが困窮する家庭のための基金を立ち上げ、新型コロナウイルスへ立ち向かう

東真奈美

2020.04.16

財団を運営するロディック(左)と、妻のブルックリン・デッカーさん。(C)GettyImages

財団を運営するロディック(左)と、妻のブルックリン・デッカーさん。(C)GettyImages

 元世界1位のアンディ・ロディックが、4月3日に自身の財団で、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける家族と子供たちのための基金を立ち上げたことを、ATP公式サイトが報じた。『家族緊急支援基金』という名のこの基金では、米国テキサス州オースティンで困窮する家族への支援金を集めている。

 2012年に30歳で現役を引退したロディックは、長らくトップ10プレーヤーとして活躍を続けたアメリカが誇るレジェンドだ。ダイナミックなフォームから最高時速250km近くを叩き出す強烈なサービスを武器に、2003年の全米オープンでグランドスラムタイトルを獲得、世界ランキング1位にも登り詰めた。

 そんな彼がまだジュニアだった時代、17歳で設立したのがアンディ・ロディック財団だ。同財団はこれまで、恵まれない子供達とその家族のために、質の高い課外学習や、充実した学びの機会を提供してきた。「私たちの仕事は、子育てをする親をサポートすることであり、家族が成功するために必要なツールを提供することだ。終業の鐘が鳴っても、キャンパスを離れてもサポートを続けたい」と、ロディックは語る。 
 
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中の多くの国々で学校閉鎖が行われており、ロディックの住むテキサス州オースティンもその例外ではない。さらに、オースティンには子どもの食事を学校給食に頼る低所得世帯も多いそうだ。ロディックは「(そういった家庭が)今の状況で最も打撃を受けた人たちだ。素早く行動し、対応しないといけない」と考えたという。

『家族緊急支援基金』は、発足から3日間で15,000ドル(約161万円)以上を集めた。「少額の寄付でもひとり1日分の食費を賄う事ができる。財政的なストレスを常に抱えている家族が、今回の事態でますます困窮するだろうという不安を食事に替えたかった。そこがこの基金の第一の目標だった。どんな小さな心付けでも、特に今は一家族への大きな違いを生む。我々を信頼してくれている家族に応え続けなければいけない」と、ロディックは力説する。財団スタッフは個人の、企業の、財団のネットワークに基金の認識を広め、人から人への支援を拡大している。

 もともとテニス界には、チャリティーの文化が根付いていた。「そういったコミュニティの一員であることに一種の誇りがある。しかしそれは役割を担う責任を生み出した。」とロディックは言う。“社会を動かす文化“を持つテニス界で成長し戦ってきたロディックは新型コロナウイルスにも立ちむかう。

文●東真奈美

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