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海外テニス

「勝利のもたらす感動は、費やした努力に比例する」全仏V12の鉄人ナダルを育てた“耐える思考”と“熱き言葉”【男子テニス】

中山和義

2020.04.16

ひた向きに勝利を追求してきたナダルだからこそ、その言葉には惹かれるものがある。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

ひた向きに勝利を追求してきたナダルだからこそ、その言葉には惹かれるものがある。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 テニス界で長きにわたりトップランキングを維持する一流選手たち。そんな彼らが発する言葉には、テニスの上達はもちろんだが、仕事やプライベートでも役立つヒントが数多く隠されている。

 昨年6月に開催された全仏オープンで、ラファエル・ナダル(スペイン)は前人未到となる12回目の優勝を達成した。どうして彼はこのような実績を残すことができたのか。

 その理由をナダルが様々なシーンで発してきた言葉から紐解いてみよう。

 全仏のクレーコートで戦うナダルは、テレビ画面の枠から外れそうになるくらい後方に構えてレシーブをする。そしてサービスを打ち返した後は、懸命にコートを走り回り、辛抱強くラリーを続ける。その姿からは「打ち合いに持ち込むことさえできれば、ポイントを奪うことができる」という自信のようなものが感じられる。

 ナダルはこうしたラリー戦について、次のように語っている。
 
「ウィニングショットを打てるチャンスが来たとする。その時の成功率は、70パーセントだ。しかし、あと5回我慢してラリーを続ければ、成功率は85パーセントに上がる。だから僕は注意深く、我慢強くラリーを続け、チャンスを待つんだ。焦ってはいけない――」

 ナダルは、勝利を確実にするためには、慎重に耐える力が必要だと考えている。

 そして、その耐える力、忍耐力については、

「忍耐力とは、肉体を酷使して戦い続け、絶対に諦めず、良いことも悪いことも、良いショットも悪いショットも、幸運も不運も、行く手に立ちはだかる心を乱す全てに耐えることだ」

 と力説する。

 悪いショットや不運に耐える力が必要だというのは、多くの人が考えることだが、ナダルがすごいのは、『良いショット』や『幸運』に対しても心を乱してはいけないと考えている点である。

 この考え方は子どもの頃、ジュニア大会で優勝しても、厳しかったコーチから「こんな優勝は、通過点に過ぎない」と言われ、喜ぶことも許されなかった経験からきているのかもしれない。
 
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