海外テニス

「ダウン症への意識を高める」ため、あえて左右不揃いの靴下を履くテニスのトップ100プレーヤー、マーティンの活動

Hustle

2020.05.09

3月21日が『世界ダウン症デー』なのは、ダウン症の人が持つ染色体のうち、21番目のものが3本ある(健常者は2本)という理由から。(C)GettyImages

 2006年のウインブルドンジュニアでダブルス準優勝を果たし、シングルスでもジュニアランキング8位まで上り詰めた経験を持つスロバキアのテニスプレーヤー、アンドレイ・マーティン。ツアーデビューから13年目の今年2月に、キャリアハイとなる世界ランク93位を記録した。30歳にして上り調子の彼だが、ATP公式サイトによると、最近はプレー以外の面でも周囲の注目を集めているようだ。

 彼は、2年前からテニスに対するモチベーションを考えるようになり、自分自身のことよりも、何か違うことのためにプレーできないかと模索していたという。様々なチャリティー団体を調べ、支援の申し出をし、実際にいくつかの団体への協力をはじめたマーティンは、活動を続ける中で、とある取り組みの存在を知る。

 それが『世界ダウン症デー』だ。
 毎年、3月21日に制定されている世界ダウン症デーは、ダウン症候群への理解を深めることを目的として、世界中で様々なイベントや活動が行なわれている。これらの取り組みのひとつに『左右不揃いの、かつカラフルな靴下を履いて生活する』というものがあり、マーティンはこれに強く心惹かれた。

「この活動に感銘を受け、どうすれば普及できるのか考えた。僕にとって、左右違う靴下を履くというのは小さな努力だけれど、このことがきっかけで見ている人々に大きな印象を与えて、ダウン症への意識を高められるかもしれない。テニスは世界的にも人気のスポーツで、社会への影響力もあるから、誰かのために役立ち、助けを提供できる機会になるんじゃないかと気付いたんだ」と語った。
 
 その後、マーティンはツアーのほとんどの試合で左右異なる色の靴下を履いている。メディアや他の選手が彼に注目し、靴下について尋ねられることが多く、これがダウン症への関心を高める良い機会になっているという。

「1年に1度の特定の日にだけではなく、ダウン症の人たちは、いつでも関心を持たれるべきだ。テニス関係者から僕の靴下のことでよく質問を受けるようになった。それは注目を集めることができている証拠だから、これからも人々に認知してもらえるのであれば、履き続け、喜んでこの活動するよ」

 自身のSNSでも、実際に不揃いのカラフルな靴下を履いてプレーする画像を公開しているマーティン。「人と違うことは美しいこと」という言葉とともに公開されたこの投稿には、世界中から称賛の声が集まっている。

 現在は、新型コロナウイルスの影響によりツアーは中断しているが、ツアー再開後にマーティンのプレーを見る機会があれば、彼の足元にも注目し、そして自分のためだけではなく、世界中の『ダウン症』という個性を持つ誰かのために戦う彼を応援してみてはいかがだろうか。

文●Hustle

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