国内テニス

ツアーで戦うことができない今、私がトライしてみたこと【プロテニス選手コラム/岡村恭香】

岡村恭香

2020.05.14

ツアーへの参戦ができなくなった現在、プロテニスプレーヤーたちは色々な試みをしている。女子の岡村恭香もその1人。写真:慶應チャレンジャー

 新型コロナウイルスの影響で今年のツアーは現時点で7月13日までの中止が確定している。中国で初めてウイルスが確認されてから半年以上たっても一向に収まる気配の見えない恐ろしい病は今年中にツアーが再開されるビジョンを私に見せてはくれない。

 私たちテニス選手の仕事は、コート上で日頃の努力を最大限発揮し、己の限界に挑戦する姿を示し、観ている方に元気や勇気、活力を与えること、そして小さい子どもたちの夢や目標となることだと思うが、その機会も失われてしまった。

「私たちにできることとは一体何だろうか?」

 ここ数年、錦織圭選手や大坂なおみ選手の活躍で随分テニスもメディアに取り上げられるようになってきた。しかし未だに注目されるのはこの2選手だけ。大きな国際大会を国内で開催していても他の選手はメディアに取り上げられる機会は少なく、観客も他国と比べると少ない。

 この現状を受け、私はテニス界をもっと盛り上げるにはどうしたらいいのかとよく考えるようになった。それには選手の価値をより高める必要があると感じていた。
 
 練習もままならない私たちを、変わらず支援を続けてくださるスポンサーに貢献するため、また、ファンの方と応援しあって、コートに立てなくても一緒にこの苦境を乗り越えるためにはどうしたらいいかと模索した。

 選手は今、ツアーがないため、収入がない。スポンサーが無くなればどのように生活していくのだろう。

 それには「今までの人生全てテニスに捧げてきた私は自分自身を商品にするしかない」「コート上でできる仕事がない今、オフコートでも自分たちがこれまで積み上げてきた技術や経験で何かできることがある」と考えるようになった。

 そんな中、同期の秋山みなみ選手からオンラインファンミーティングの誘いを受けた。そしてその後、以前より応援してくださっている方から、出演料を頂き『SHOWROOM』(※オンラインで、配信、視聴ができるライブストリーミングサービス)をしてはどうかというご提案を受けた。参加費への抵抗と、1人で大勢の方に向けて配信する恥ずかしさと、自分が思うことをうまく伝えられる自信がなかったが、今こそ選手の価値を高める時、こういう苦しい状況に立たされた時こそ、少しでもテニス選手を知ってもらう場を広げたいと思い、自分の苦手分野ではあったが、挑戦してみた。