海外テニス

「もっと多くの選手や関係者が生きていけるようになるべき」3度の手術から復活した苦労人ジョン・ミルマンが熱弁をふるう【男子テニス】

東真奈美

2020.05.13

遅咲きのミルマンは、下部ツアーの状況についてもよくわかっている。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 徐々に規制が緩和されているとはいえ、まだまだ予断は許されることなく新型コロナウイルスとの戦いが続いている。例年なら5月末から全仏オープンのコート上で対戦しているプロプレーヤーたちも例外ではない。

 こんな時だからこそ聞ける声があるのではと、オーストラリアのテニスレジェンド、トッド・ウッドブリッジがジョン・ミルマンに、「テニス・オーストラリア」によるビデオ通話でインタビューした。

 ミルマンはオーストラリア・ブリスベン出身で、現在ATPランキング43位。ATPツアーでの優勝はまだないが、18年全米オープンではフェデラーに勝利しベスト8入りで注目を集め、今年の全豪オープン3回戦でもフェデラーと激闘を演じている。ジェントルマンとして知られており、敗北後のさわやかな笑顔も話題になった。過去3度大きな怪我に見舞われているが、不屈の精神で立ち上がってきた。

 ミルマンもまた、新型コロナウイルス感染症拡大のせいで通い慣れたトレーニング施設にアクセスできず、ブリスベンの自宅でオフコート・トレーニングに励んでいる。しかし、30歳のミルマンは今まで以上に強靭な身体でコートに戻ると確信しているようだった。
 
「自分の試合は身体能力重視なので、それを失いたくありません。身を削るような激忙なツアーの日々から随分離れていると身体も心もなまってしまいがちですが、自分は停滞していたくないのです。自宅でも脚と上半身を強化することはできます」と整えられた自宅ジムのバイクでトレーニングする映像で語った。

 長期在宅を強いられることは、ミルマンにとって初めてではない。2度の肩の手術と股関節の手術を受け、彼のキャリア通して3度も長期間のリハビリに耐え復活してきた。しかしそのミルマンでさえ、「モチベーションの置き所が、出口が見えないので非常に困難です」と、今回の挑戦はこれまでにない精神的な課題を与えられていると認めた。

 そのような難しい状況下でも、「日々のゴールとルーティンを設定することが、モチベーションを高く維持するのに役立つと思う」と経験談を語った。