1位がミロシュ・ラオニッチ、2位ジョン・イズナー、3位サム・クエリー。いずれもビッグサービスに定評ある名前が並んだこのランキングは、2019年のファーストサービスポイント獲得率トップ3である。やはり、テニスにおいて、とりわけサービスにおいて、パワーは絶対的な武器なのだろうか。
ファーストサービスでは確かにそうかも知れない。しかし、セカンドサービスではどうか。例えば、西岡良仁が決して速くない、むしろ遅いセカンドサービスでかなりのポイント獲得率を叩き出しているであろうことは、テニスファンならなんとなくわかるはずだ。事実、西岡がマークしたセカンドサービスのポイント獲得率(過去1年間)は全体で7位となっている。
そんな漠然とした疑問――セカンドサービスのスピードとポイント獲得率の関係について、ATP公式サイトが興味深い逆転現象を見つけ出した。なんと、「遅ければ遅いほど、ポイント獲得率が高い」というのだ。
まず、昨年の年末トップ10プレーヤーをセカンドサービスの平均速度の順に並べると、次のようになる。
順位 選手名 平均速度(km/h)
1 マテオ・ベレッティーニ ――――――165.44
2 アレクサンダー・ズベレフ ―――――161.90
3 ガエル・モンフィス ――――――――160.77
4 ドミニク・ティーム ――――――――159.33
5 ステファノス・チチパス ――――――156.11
6 ラファエル・ナダル ――――――――155.14
7 ノバク・ジョコビッチ ―――――――154.66
8 ロジャー・フェデラー ―――――――154.34
9 ダニール・メドベージェフ ―――――154.18
10 ロベルト・バウティスタアグート ――150.47
次に、同じ10人をセカンドサービスのポイント獲得率で並べてみると、驚くべき結果が現れる。なんとナダルやフェデラーなど、平均速度の下位5人全員がポイント獲得率では順位を上げ、逆に速度上位5人全員が獲得率では順位を下げている。しかも、サービスが速い5人のうち、ポイント獲得率でも上位5人に入ったのはティームだけなのだ。
順位 選手名 ポイント獲得率(%)
1 ナダル ――――――――――59.64
2 フェデラー ――――――――59.44
3 ジョコビッチ ―――――――57.02
4 バウティスタアグート ―――55.96
5 ティーム ―――――――――55.28
6 メドベージェフ ――――――54.57
7 ベレッティーニ ――――――53.77
8 チチパス ―――――――――52.92
9 モンフィス ――――――――50.47
10 ズベレフ ―――――――――44.31
2つを合わせると以下のようになる。
選手名 平均速度/ポイント獲得率
ナダル ―――――――――6位/1位
フェデラー ―――――――8位/2位
ジョコビッチ ――――――7位/3位
バウティスタアグート ――10位/4位
メドベージェフ ―――――9位/6位
ベレッティーニ ―――――1位/7位
ズベレフ ――――――――2位/10位
モンフィス ―――――――3位/9位
ティーム ――――――――4位/5位
チチパス ――――――――5位/8位
なぜ、ここまで明確な逆転現象が起こるのだろうか。ナダルやフェデラーがセカンドサービスに速さを求めない理由はどこにあるのだろうか。ATP公式サイトでは上の5つの可能性を指摘している。
1.サービスが速くなればなるほどリターンが早く返ってくるため、準備の時間が奪われる。
2.サービスの遅い5人のサーバーは、3球目での防御力が高い。
3.リターナーは遅いセカンドサービスにタイミングが合わせづらい。
4.サービスの遅い5人のサーバーは、打つコースを混ぜてリターナーを迷わせている。
5.サービスの遅い5人のサーバーは、スピン、コース、深さによってポイントを獲得している。
ポイント獲得率上位5人には、ストローク戦において突出した安定感、ないしは攻撃力を持つ選手が目立つ。それもこの結果に大きく起因していることだろう。いずれにせよセカンドサービスでは、スピードの価値が相対的に落ちるのは間違いなさそうだ。
構成●スマッシュ編集部
【PHOTO】あの名シーンも!史上屈指のライバル、フェデラー&ナダルの"若かりし頃"ギャラリー
ファーストサービスでは確かにそうかも知れない。しかし、セカンドサービスではどうか。例えば、西岡良仁が決して速くない、むしろ遅いセカンドサービスでかなりのポイント獲得率を叩き出しているであろうことは、テニスファンならなんとなくわかるはずだ。事実、西岡がマークしたセカンドサービスのポイント獲得率(過去1年間)は全体で7位となっている。
そんな漠然とした疑問――セカンドサービスのスピードとポイント獲得率の関係について、ATP公式サイトが興味深い逆転現象を見つけ出した。なんと、「遅ければ遅いほど、ポイント獲得率が高い」というのだ。
まず、昨年の年末トップ10プレーヤーをセカンドサービスの平均速度の順に並べると、次のようになる。
順位 選手名 平均速度(km/h)
1 マテオ・ベレッティーニ ――――――165.44
2 アレクサンダー・ズベレフ ―――――161.90
3 ガエル・モンフィス ――――――――160.77
4 ドミニク・ティーム ――――――――159.33
5 ステファノス・チチパス ――――――156.11
6 ラファエル・ナダル ――――――――155.14
7 ノバク・ジョコビッチ ―――――――154.66
8 ロジャー・フェデラー ―――――――154.34
9 ダニール・メドベージェフ ―――――154.18
10 ロベルト・バウティスタアグート ――150.47
次に、同じ10人をセカンドサービスのポイント獲得率で並べてみると、驚くべき結果が現れる。なんとナダルやフェデラーなど、平均速度の下位5人全員がポイント獲得率では順位を上げ、逆に速度上位5人全員が獲得率では順位を下げている。しかも、サービスが速い5人のうち、ポイント獲得率でも上位5人に入ったのはティームだけなのだ。
順位 選手名 ポイント獲得率(%)
1 ナダル ――――――――――59.64
2 フェデラー ――――――――59.44
3 ジョコビッチ ―――――――57.02
4 バウティスタアグート ―――55.96
5 ティーム ―――――――――55.28
6 メドベージェフ ――――――54.57
7 ベレッティーニ ――――――53.77
8 チチパス ―――――――――52.92
9 モンフィス ――――――――50.47
10 ズベレフ ―――――――――44.31
2つを合わせると以下のようになる。
選手名 平均速度/ポイント獲得率
ナダル ―――――――――6位/1位
フェデラー ―――――――8位/2位
ジョコビッチ ――――――7位/3位
バウティスタアグート ――10位/4位
メドベージェフ ―――――9位/6位
ベレッティーニ ―――――1位/7位
ズベレフ ――――――――2位/10位
モンフィス ―――――――3位/9位
ティーム ――――――――4位/5位
チチパス ――――――――5位/8位
なぜ、ここまで明確な逆転現象が起こるのだろうか。ナダルやフェデラーがセカンドサービスに速さを求めない理由はどこにあるのだろうか。ATP公式サイトでは上の5つの可能性を指摘している。
1.サービスが速くなればなるほどリターンが早く返ってくるため、準備の時間が奪われる。
2.サービスの遅い5人のサーバーは、3球目での防御力が高い。
3.リターナーは遅いセカンドサービスにタイミングが合わせづらい。
4.サービスの遅い5人のサーバーは、打つコースを混ぜてリターナーを迷わせている。
5.サービスの遅い5人のサーバーは、スピン、コース、深さによってポイントを獲得している。
ポイント獲得率上位5人には、ストローク戦において突出した安定感、ないしは攻撃力を持つ選手が目立つ。それもこの結果に大きく起因していることだろう。いずれにせよセカンドサービスでは、スピードの価値が相対的に落ちるのは間違いなさそうだ。
構成●スマッシュ編集部
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