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海外テニス

「誰も僕の発言の全体を読んでいない」下位支援否定で批判に晒されたティームがついに沈黙を破る【男子テニス】

スマッシュ編集部

2020.05.21

『レキップ』の取材に答えたティーム。写真=茂木あきら(THE DIGEST写真部)

『レキップ』の取材に答えたティーム。写真=茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 世界ランク1位のノバク・ジョコビッチらビッグ3が提言したことによって始まった、トップ選手から下位選手への支援金プロジェクト。世界ランク3位のドミニク・ティームは、これについて「下位選手にはプロフェッショナルだと感じられない選手が多すぎる。そのような選手に金銭的援助をする理由がわからない」と主張し、議論を巻き起こした。

 この発言が世界中のメディアで取り上げられ、批判を浴びてきたティームは、これまで沈黙を守ってきたが、ついに先日『レキップ』のインタビューでこの問題について口を開いた。

「誰も僕の発言の全体を読んでいないし、(一部が切り取られて)新聞や雑誌の見出しに大げさに取り上げられた。これが最初から間違いだったんだ。もし誰もが、僕の言いたかったことを正確に汲み取ってくれていたなら、全く違う方向に進んでいたと思うよ」

 ティームは確かに、一部の下位選手のテニスに対する不誠実さについて語っていたが、「テニスプレーヤーはそれほど飢えているわけではなく、よりお金を必要としている人々や団体が他にいるはずだ。そういたところに寄付をしたい」とも話していた。これが彼の真に伝えたかったことなのだ。
 
「支援に値する選手がたくさんいることは間違いない。彼らは良い結果を出すために努力をしているよ。でももし、小さい頃にテニスを始めて、これまでちゃんと練習ができていたならば、それはすでに恵まれた状況にあるということだ」とティームは語る。さらに、彼自身もキャリア初期の2年半を下位レベルで過ごしていたが、そこでは様々な経験をしてきたという。

「人前では言いたくないようなことを何度も経験した。それは本当に酷かったよ。だからプロとは思えないような選手がいることがわかるんだ。下位選手の全てがそうだというわけではない。でも少なからずそういう選手もいる。だからこそ、誰を援助するかは自分で選びたいんだ」とした。

 比較的恵まれた環境で育ったティームだが、テニスが非常にお金のかかるスポーツだということには理解を示す。「僕たち家族が飢えていたということはない。でもテニスはとてもお金がかかる。親やスポンサーは、幼い頃から年間5万ユーロ~7万5000ユーロ(約590万円~880万円)を支払う必要がある。簡単に払える金額じゃない」ティームの両親は、彼のキャリアをスタートさせるために、所有していたアパートを売却したこともある。

 また、下部ツアーの賞金の低さについても憂慮すべきだと主張した。「チャレンジャーツアー(メジャーツアーのひとつ下のカテゴリーで、100位前後から400位程度の選手が中心)は素晴らしいレベルだ。良い選手がたくさんいて、そんな中で優勝することはとても難しい。このレベルで戦うなら、選手はもっと稼げるべきだ。コーチやフィジオを帯同するには常に決勝に進出するくらいの成績が必要だ。それは正しいとは言えない」と述べた。

構成●スマッシュ編集部

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