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海外テニス

過去を置き去りにして、次に進む。38歳、戦うレジェンドフェデラーの負けざまの美学とは?

内田暁

2019.09.05

全米準々決勝で敗退したフェデラー。背中の痛みを隠しつつ、最後まで戦い抜いた。写真:山崎賢人(スマッシュ写真部)

全米準々決勝で敗退したフェデラー。背中の痛みを隠しつつ、最後まで戦い抜いた。写真:山崎賢人(スマッシュ写真部)

全米オープン男子シングルス準々決勝/9月3日(現地時間) G・ディミトロフ(BUL)3-6 6-4 3-6 6-4 6-2 R・フェデラー(SUI)  ベンチに引き上げるその時、彼の口元には、笑みが漏れていた...
全米オープン男子シングルス準々決勝/9月3日(現地時間)
G・ディミトロフ(BUL)3-6 6-4 3-6 6-4 6-2 R・フェデラー(SUI)

 ベンチに引き上げるその時、彼の口元には、笑みが漏れていたという――。


 セットカウント1-2と追い詰められながらも、ブレークで先行し、迎えた第4セットの第7ゲーム。8度のデュースを数えたこのゲームで、ディミトロフは7本のブレークポイントを手にし、しかしモノにすることはできなかった。
 一斉に湧き上がる大声援は、フェデラーへの後押しが主成分となる。だがそれでもなお、チェンジエンドのベンチに歩み寄るディミトロフは、「よし、これで良い。狙っていた通りだ」とほほ笑んだ。

「可能な限り、ロジャーを長時間コートに立たせる。少しでも多く、長いゲームをする」
 それが戦前からのプランだった彼にとり、12分を費やしたこのゲームは、結果的に取れずとも、作戦の遂行を意味していた。

 果たして、ディミトロフに第4セットを奪われた後、フェデラーはメディカルタイムアウトを取る。試合開始から2時間50分経過し向かった第5セットでは、フェデラーの動きは明らかに、それまでとは異なっていた。精緻を誇るフォアハンドが、フレームショットとなる。ボレーがネットを超えず、バックハンドもネットを叩いた。最初のゲームをブレークされたその時点で、試合の趨勢がほぼ決したことを、その場にいた多くの人が予感したはずだ。第3ゲームでもミスを重ねブレークを許したフェデラーは、最終セットは2ゲームしか奪えず、万雷の拍手を背に受け敗者としてコートを去った。
 試合後の会見で、真っ先にメディカルタイムアウトの理由を問われたフェデラーは、「背中の上方、首のあたり……」と応じるも、すぐさま「これはグリゴールのための瞬間であり、僕が身体のことをどうこう言う時ではないよ」と続ける。

「彼は、ベースラインから素晴らしいプレーをした。色んな球種を織り交ぜてきたので、リズムをつかむのが難しかった。ベースラインでの打ち合いで、心地よく感じることができなかった」

 それが、フェデラーが挙げた最大の敗因。「彼は過去の対戦でも、リターンでチップを使ったり前に出たり、色々なことをしてきた。弾薬庫に多くの弾を揃えており、その全てを効果的に使ってきた」というのが、フェデラーのディミトロフ評だ。

 対するディミトロフは、フェデラーの有する最大の才能の一つに、「切り替えて次に進む力」を挙げる。
「ポイントを取っても取られても関係ない。過去を置き去りにして、次に進む。それは、強靭な精神力から来るものだと思う」。

 だからディミトロフは、この試合は体力の勝負に持ち込むことを決めていた。強靭な精神力が生かせぬまでに、体力を削っていく……それが、過去7度の対戦で全て破れていたディミトロフが、8度目の挑戦に掛けた思いだ。

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