海外テニス

過去5年でナダルに大きく勝ち越すフェデラー。そのカギはセカンドサービスにあり!?

スマッシュ編集部

2020.07.29

長年のライバルでありながら、良き友人でもあるフェデラー(右)とナダル(左)。(C)GettyImages

 80年代のボルグとマッケンロー、90年代のアガシとサンプラス、そして00年代以降のナダルとフェデラー。いずれも男子テニス界に鮮やかな歴史を作ってきたライバルだが、2020年のいまも現役トップに君臨する最後のふたりは、その関係性の長さにおいても突出している。

 ふたりが初めて対戦したのは2004年マイアミ大会の3回戦だった。当時22歳のフェデラーはこの年、トップ10に1度も負けることなく、3つのグランドスラムを含む11タイトルを獲得。対戦の前月には初めてランキング1位に立っていた。だが17歳のナダルは、そんな新王者をストレート(6-3、6-3)で撃破。以降、一度もフェデラーに負け越すことなく、現在も通算24勝16敗と大きく引き離している。

 しかし、ナダル優位だったふたりの関係性は、実はここ5年で大きく変化している。初対決から2014年までナダルの23勝10敗だった戦績は、2015年からの5年では1勝6敗と逆転しているのだ。ATP公式サイトでは、この変化のカギとなるデータを紹介。それが「フェデラーのセカンドサービスのポイント獲得率」だ。

 そもそもフェデラーは、セカンドサービスのポイント獲得率が極めて高い。2004年から2014年の間、7シーズンにわたりツアー1位となり、5位以下になったことは一度もなかった。11年間の通算では、ツアートップの58.3%だったという。

 ところが、ナダルとの対戦に限ると、これが48.7%にまで落ち込んでしまう。さらにクレーコートに限定すると、44.3%しかセカンドサービスでポイントを得られなかった。

●2004~2014 フェデラーのセカンドサービスポイント獲得率
対ナダル=48.7%(589/1209)
対ナダル以外=58.3%(13,593/23,302)
 
 とりわけ悲惨な数字が残ったのが、2008年のローランギャロス決勝だ。ナダルが6-1、6-3、6-0で勝利した際、セカンドサービスポイントの65%を獲得したナダルに対し、フェデラーはわずか21%しか取れなかった。

 ちなみ、ナダル自身のセカンドサービスも実は高いポイント獲得率を叩き出している。この11年間、フェデラーに対して55.9%の獲得率だったばかりでなく、生涯の統計でも、2位にフェデラーを従えトップに立っているのだ。

●生涯セカンドサービスポイント獲得率 (1991-2020年)
1位 ナダル=57.4%(15,308/26,664)
2位 フェデラー=56.8%(24,303/42,760)

 さて、2015年以降は対ナダル6勝1敗と立場を逆転させたフェデラーだが、その間のセカンドサービスポイント獲得率はどうなったのか。

 データによると、48.7%だった獲得率は55.1% (118/224)と、飛躍的に向上している。なかでも2019年ウィンブルドン準決勝では、62%(23/37)のポイントをナダルから奪い取った。

 やはり勝負の神は細部に宿るということか。数々の名勝負を繰り広げてきたナダルとフェデラーだが、ひとつのキーが一見地味なセカンドサービスの攻防にあったのは間違いないだろう。ツアー再開後に、再び彼らの試合を見る機会があれば、フェデラーのセカンドサービスの、コースや球種、その後の展開などに注目してみてほしい。

構成●スマッシュ編集部

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