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【テニスギア講座】初級者からプロ、女性まで。「黄金スペック」のラケットはどうして人気があるの?

松尾高司

2020.08.09

1998年、モヤが全仏オープンで優勝したことで、俄然注目を浴びた『ピュアドライブ』。ここから黄金スペックの歴史が始まったと言っていい。(C)Getty Images

1998年、モヤが全仏オープンで優勝したことで、俄然注目を浴びた『ピュアドライブ』。ここから黄金スペックの歴史が始まったと言っていい。(C)Getty Images

「黄金スペック」とは、以下の3つの数値をおおむね満たしているテニスラケットのことです。
◆フェイス面積:100平方インチ
◆平均重量:300グラム
◆最大フレーム厚:26ミリ

 現在、ほとんどのラケットメーカーが、「黄金スペックモデル」をラインナップに入れています。どうしてこれほど人気になったのか? そのルーツは、ストリングメーカーの「バボラ社」が、ラケット市場に進出するために作った3モデルのうちの1つ、『ピュアドライブ』にあります。

 1994年、フランス国内だけで発売された当初こそ、ストリングメーカーのラケット……と軽く見られていましたが、徐々に市場を拡大。そして98年全仏オープンで、カルロス・モヤが『ピュアドライブ』を使って優勝すると、一気に世界的な注目を浴びます。その翌年末、ついに日本にもバボララケットが正規輸入され、中でも『ピュアドライブ』は爆発的なヒットを記録します。
 
 なぜ『ピュアドライブ』はすごい人気を得たのでしょう? それまでのテニスラケットは「初級者向け」「中級者向け」「上級者向け」とレベル別に区分けされており、重量・フェイス面積・フレーム厚の3スペックは、かなり明確に差別化されていました。初級者向けモデルは「軽量・ラージサイズ・厚ラケ」が基本で、上級者向けは「重め・ミッドプラス・薄ラケ」と、完全に両極化している状態でした。

 ところが『ピュアドライブ』は、世界のトッププロも使えば、日本の草トー愛好家も使い、女性も十分対応できて、何と全くの初心者でも使えるラケットだったのです。300グラムという重さは、競技者には少々軽いものでしたが、高速スイングができるのが魅力でした。初級者にはちょっと重かったかもしれませんが、十分に扱える範囲でしたし、クリーンヒットした時の飛びが爽快で、テニスを楽しくしてくれました。

 また100平方インチという設定も絶妙で、それまでは100を境に「ミッドプラス⇔オーバーミッド」と区分けされていたのが、100ちょうどで幅広い汎用性を備えたのです。さらに26ミリという厚さは、初級者には軽快でありながら打感の手応えを感じさせ、競技者には強烈なスピンによって相手コートへねじ込むテニスを生み出しました。
 

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