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左足の蹴りを加えてバランスが良くなったワウリンカ【テニス・サービスフォームの変遷|3】

スマッシュ編集部

2020.08.23

左/2016年は、打球後に腰が折れていない。右/2010年は腰が折れてバランスが崩れている。写真:THE DIGEST写真部

左/2016年は、打球後に腰が折れていない。右/2010年は腰が折れてバランスが崩れている。写真:THE DIGEST写真部

 テニスのショットの中でも、サービスのフォームは難易度が高い。実はプロでさえ、改良しながら自分に合うフォームを探求しているのだ。プロがどのようにフォームを変えて効果を上げたのか、史上最年少で全日本選手権を制した谷澤英彦氏に解説してもらった。プロの変更点を参考にして自分に適したより良いサービスフォームを手に入れよう。

 3回目はスタン・ワウリンカで、2010年と2016年を比較した。2010年といえば、ワウリンカは20位台付近をさまよっている時期。13年にマグナス・ノーマンとコーチ契約をして、14年に全豪、15年に全仏、16年に全米のタイトルを手中に収めている。

 写真を見てもわかるように、ワウリンカは以前に比べバランスを保って打てるようになっている。どの点が変化したのか、谷澤氏に解説してもらおう。

「ワウリンカは2010年も16年も両腕を一緒に上げるバンザイ型のテイクバックを行なっています。変化と言えば、10年でも十分にヒジの位置は高かったのですが、16年の時はヒジをアゴの高さにまで上げている点です。

 一般的には高く上げ過ぎると、下ろす時に落ちすぎてしまう傾向にありますが、おそらく自分の中でよりヒジを意識させるために、1度高く上げているのでしょう。ワウリンカの場合はヒジが落ちすぎることもなく、高い位置を保てているため、スイングはスムーズに行なえています」
 
 バランスについては、左足の蹴りが関係しているようだ。「大きな変化が見られるのは、ジャンプした後の左足です。10年の時は左足が曲がっていました。これは左足の蹴りが使えていないことを意味します。そのため、打点も低くなりますし、スイング後は上半身が前傾していました。身体を回すことの方に意識がいっており、下から上のパワーが使えていないのです。

 16年には左足の蹴りの力も使うように変えています。ジャンプした後の足が、まだ多少曲がってはいますが、以前ほど曲がってはいません。地面からの力をボールに伝えることが可能になり、パワフルなボールになっていると考えられます。打ち終わりの身体のバランスも崩れていないため、次のショットに素早く移れるようになっています」

 打った後のバランスが悪く、次のショットの準備が遅い人は、ワウリンカのように左足の蹴りを意識してみるといいだろう。

解説=谷澤英彦(マサスポーツシステム)
1989年に17歳9カ月の史上最年少で全日本選手権を制覇。現役時代はデ杯日本代表に名を連ね、引退後は守屋宏紀をジュニア時代から育てた。現在は橘テニスアカデミーでジュニア育成に携わる。日本テニス協会公認S級エリートコーチ。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2017年9月号から抜粋・再編集

【PHOTO】ワウリンカの2010年と2016年を比較した、フォームの変化がわかりやすい連続写真はこちら
 

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