海外テニス

「今はポジティブな気持ちでいる」復帰戦でIMGの後輩に逆転負けした錦織圭が、胸中を語る

中村光佑

2020.09.09

結果は残念だったが、久しぶりに試合に戻ってきた錦織圭。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 錦織圭が1年以上の時を経てついにツアーに帰ってきた。大会出場は19年全米オープン以来となる錦織は、「ジェネラリー・オープン」(オーストリア・キッツビュール/ATP250)を復帰の舞台に選び、8日(現地時間)の1回戦に登場。錦織と同じくIMGアカデミー出身、世界47位のミオミル・ケツマノビッチ(セルビア)を相手に序盤から攻撃的なテニスを展開し、第1セットを先取したが、サービスの精度が上がらず第2セット終盤から徐々に失速。6-4、4-6、2-6で惜しくも敗戦を喫した。

 試合開始から5ゲームを連取するなど幸先の良いスタートを切っていただけに勝利を収めたいところではあったが、錦織自身は結果をポジティブに受け止めているようだ。ATP公式HPによると、試合後の会見で錦織は、「(状態は)100%ではなかったけど、プレーできたことはうれしい」とコメント。

 続けて、「正直十分なコンディションではなかった。チャンスはあったので、2セットで(試合を)終わらせていたらまた(状況は)違ったかもしれない。勝てたかもしれないと思えるぶん、残念ではある」と悔しさをにじませる。それでも「いい時間を過ごせたし、今はポジティブな気持ちでいる。また次の大会に向けて頑張っていきたい」と前向きに語った。
 
 一方のケツマノビッチは試合後、「(錦織は)自分が13歳の頃に初めてIMGで練習して、今も一緒に練習をしている選手。とても大きな意味を持つ勝利だと思うし、本当に特別なことのように感じる」と話し、世界のトップに上り詰めた錦織から勝利を収めたことを素直に喜んだ。ケツマノビッチは2回戦でジョーダン・トンプソンとジョン・ミルマンの勝者と対戦する。

 敗れはしたものの、錦織にとっては試合勘やサービスの精度、スタミナ面など多くの課題を見つけ出すための良い機会であったことには間違いないだろう。今大会では西岡良仁とダブルスにもエントリーしており、現地9日に試合が予定されている。次なる錦織の舞台はローマ国際(ATP1000・イタリア)。さらなる大きなステージで復帰後の初勝利に期待したい。

文●中村光佑

【PHOTO】錦織が戦った全米オープン2019
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【動画】敗れはしたが、錦織らしいプレーも見せてくれたケツマノビッチとの復帰戦