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海外テニス

全米OPで3年ぶりに復帰のピロンコワが8強進出。まさかの快進撃に自身も驚き「本当に誇りに思う」

スマッシュ編集部

2020.09.09

2017年ウインブルドン以来の公式戦となった全米で、快進撃を続けるピロンコワ。(C)GettyImages

2017年ウインブルドン以来の公式戦となった全米で、快進撃を続けるピロンコワ。(C)GettyImages

 今からちょうど10年前、2010年9月に女子シングルスでキャリアハイの31位を記録したツベタナ・ピロンコワ(ブルガリア)。2017年のウインブルドン選手権以降、出産のため3年以上もの間ツアーを離れていた彼女は、復帰戦の舞台に全米オープンを選択した。

 そして今、ピロンコワは元世界1位のセレナ・ウィリアムズとの準々決勝を控えている。これまで、2回戦で第10シードのガルビネ・ムグルサ(スペイン)、3回戦で第18シードのドナ・ベキッチ(クロアチア)、4回戦でアリゼ・コルネ(フランス)など、上位選手を次々となぎ倒しての勝ち上がり。この快進撃は、本人にとっても意外なことだったようだ。ピロンコワは、米『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューに答えた。

 全米オープンが開催されるのは、世界でも最大級の規模を誇るビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター。その広大なロッカールームを、最初に訪れた彼女は、他の多くの選手から驚きの表情と共に迎えられた。

 しかし、当初128人の女子シングルス選手が行き来していたロッカールームも、今や空っぽ。そんな中、残り8人の強豪の中に名を連ねるピロンコワは、「勝ち続けられて嬉しい。自分のやっていることを本当に誇りに思うわ」と話す。
 
 2018年4月、第一子となるアレクサンダーくんを出産したピロンコワは、もうプレーに戻ることはないと感じていた時期もあったという。それは「フルタイムのママとしての生活に、快適さを感じていた」から。しかし、次第にテニスの肉体的、精神的な挑戦を恋しく思い始めた彼女は、自分へのチャレンジとして、もう一度プロの舞台に上がることを決めた。

 また、WTA(女子テニス協会)が2018年シーズンの終わりに導入した、母親選手への救済措置も、復帰へのモチベーションになったようだ。それは、産休から復帰した選手がプロテクトランキングを使って参加できる大会を、通常の8大会から12大会に拡大し、それを利用できる期間も2年から3年に延長する、というものである。

 これについてピロンコワは「最初はさほど(救済措置を)気にしていなかったの。でも今となってはそれがモチベーションのひとつ。まだ、ツアーに自分の居場所があると感じられることは、大きな違いを生むわ」と述べた。

 次戦、現地9日の準々決勝で戦うセレナも、ピロンコワと同じママさんプレーヤーだ。2人の他にも、グランドスラムシングルス2勝を誇るビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)や、女子テニスで一時代を築いたキム・クリステルス(ベルギー)など、出産を経てなお活躍するトップ選手が増えつつある。彼女たちの姿は、今後も同様の道を辿る女子選手たちに、大きな勇気とキャリアの選択肢を与えてくれるだろう。

構成●スマッシュ編集部

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