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ロシア人初のNo.1にして四大大会覇者、カフェルニコフ。強烈かつ精密な「ロシアンフラット」は異彩を放つ【レジェンドFILE28】

スマッシュ編集部

2020.09.20

ラケットヘッドを落とさず、前に利かせてフラットドライブの強打を放ったカフェルニコフ。威力と精度を兼備したフォアで、戦国時代に頂点に立った。写真:スマッシュ写真部

 1999年はピート・サンプラス、アンドレ・アガシら5人のナンバー1がひしめき合ったが、そのうち6週間、王座を奪取したのがイェブジェニー・カフェルニコフだ。同時に、彼はロシア選手として初のグランドスラム大会優勝者となった選手である。

 最近の男子テニス界はロシア勢が勢いを持っているが、その筆頭格にいるダニエル・メドベージェフのプレーは、どことなくカフェルニコフのテニスを彷彿とさせる。窮地に陥ってからの挽回力も高く、そのメンタルの強さもカフェルニコフに似ている。

 連続写真で紹介したのは、カフェルニコフの武器だったフォアハンドだが、ラケットヘッドを利かせ、当たりが非常に厚いのが特徴。これもメドベージェフとの共通項と言える。

 球質はフラットに近いドライブ。もっとスピンをかけるのが主流だったこの時代に、タイミングの早さと"伸び"を重視したカフェルニコフのボールは、通称「ロシアンフラット」と呼ばれ、恐れられた。
 
 また、ロシア選手共通の特徴として、彼はスイング中に身体バランスがほとんどブレないことでも知られた。この連続写真でも、2コマ目のテイクバックから9コマ目のフォロースルーまで、頭と上体が常に一定で、それを軸にしてコマのように腕が回っていく様子が見て取れる。

 弾道が低いのに、スピードだけでなく正確性も高かった理由がここにある。相手に振られた時のカウンターも彼の大きな武器だった。

【プロフィール】イェブジェニー・カフェルニコフ/Yevgeny Kafelnikov(RUS)
1974年生まれ。ATPランキング最高位1位(99年5月)。グランドスラム通算2勝(AUS:99年、RG:96年)。ロシアの男子テニスを世界のトップに引き上げたパイオニア。強力なグラウンドストロークを軸としたオールラウンダーで、サーフェスを問わない強さを有した。96年全仏でロシア人初のGS優勝を果たすと、99年には全豪も制しNo.1に到達。シドニー五輪ではシングルスで金メダルを獲得し、02年にはロシアをデビスカップ優勝に導いた。04年の引退後は、ポーカーやゴルフの大会に出場していた。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

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