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「フェデラーやナダルほどの人気は得られない」ヒューイットがジョコビッチ人気の限界について持論

Hustle

2020.10.07

ジョコビッチ(右)の不人気について見解を示したヒューイット(左)。(C)Getty Images

 セルビアが誇るスター選手、ノバク・ジョコビッチは、これまでグランドスラム17勝を挙げ、ラファエル・ナダル(19勝)、ロジャー・フェデラー(20勝)の記録に迫っている。ジョコビッチは、彼らの記録を追い抜きたいという願望を公言しており、さらに、フェデラーの持つ世界1位最長在位記録(310週)の更新も狙っている。

 こうして、今後のさらなる活躍を目指すジョコビッチだが、この1年は残念ながら自身の評判に自らキズをつけていると言っていいだろう。

 まず、新型コロナ禍で開催したエキジビション大会『アドリア・ツアー』でのクラスター発生。主催者であるジョコビッチ自身を含め、出場した選手に感染者を発生させた、ずさんな感染予防措置が大きく批判を受けた。

 さらには、ATP(男子プロテニス協会)の選手会代表を辞任し、新たな選手団体を設立。これには60人ほどの選手が賛同しているが、ATPは「今は分裂よりも、団結の時だ」という声明を発表し、フェデラーやナダルも新団体設立には反対の立場を示した。

 そして極めつきは、9月の全米オープンでの失格だ。プレー中のフラストレーションから線審の喉元にボールをぶつけてしまったジョコビッチは、「軽率で不用意な行為」として失格処分を受けた。このセンセーショナルな出来事は世界中で取り上げられ、まさに火に油を注ぐような事態となったことは記憶に新しい。
 
 これまでも、自身の不人気に苦しめられてきたジョコビッチ。昨年のウインブルドン決勝でフェデラーと対戦した際には、フェデラーの勝利を願う観客が多かったこともあり、センターコートはフェデラーへの応援一色に。年始の全豪オープン決勝でも、盛り上がりすぎた観客に「黙れ」と叫び、盛大なブーイングを浴びせられた。

 そんなジョコビッチについて、元世界1位でオーストラリアの人気者、レイトン・ヒューイット氏は、「どれだけの勝利を積み重ねても、フェデラーやナダルほどの人気は得られないだろう」と、海外メディア『FOXニュース』で明かしている。

 ヒューイット氏は、「2人(フェデラーとナダル)はこの世代で間違いなく偉大なアンバサダーだ。ジョコビッチのビッグトーナメントでの記録や活躍は素晴らしいものだが、それでもロジャーやラファ(ナダル)への観客のサポートは変わらないだろうね」との見解を示した。

 それでも、無理に人気を取りに行く必要はないと語るヒューイット氏。「彼がフェデラーやナダルの真似をしようとする罠にはまらないことが重要だ。彼は自分自身で、オリジナルでなければならない。素晴らしいテニスプレーヤーであることは誰もが知っているからね」と話した。

 現在開催中の全仏オープン(フランス/パリ)では、盤石な勝ち上がりでベスト8を決めているジョコビッチ。今夜行なわれる準々決勝の相手は、奇しくも全米オープン4回戦で失格となった時と同じ相手、パブロ・カレノブスタ(スペイン)だ。もう同じようなことは起こらないだろうが、否が応でも注目が集まる一戦となるだろう。

文●Hustle

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