海外テニス

「あなたたちには見えていなかったの?」セレナが黒人差別抗議運動に言及。女性の地位向上に向けた精力的な活動も

スマッシュ編集部

2020.10.08

現在行なわれている全仏オープンでは、足のケガにより2回戦を前に棄権したセレナ。(C)Getty Images

 イギリスのファッション雑誌『Vogue』11月号の表紙を飾ったセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)が、同紙のインタビューに答え、母国を中心に巻き起こる『Black Lives Matter』運動について自身の考えを明かした。

 アフリカ系アメリカ人選手として長年女子テニス界を牽引してきたセレナは、ジョージ・フロイドさんの死を発端として始まった一連の抗議運動について、「こういった問題はずっと前から起き続けている」と感じているという。

「私たちは今、長年隠されてきた、解決しなければならない問題に目を向けているの。私はこう思ったわ、あなたたちには今までこれらのこと(差別)が見えていなかったの?って。私はずっと声を上げ続けてきたのに」

 他の多くのアフリカ系アメリカ人と同様に、彼女自身も肌の色の違いにより差別的な扱いを受けてきた。しかし、アフリカ系アメリカ人であることへの誇りを失ったことは、これまで決してないという。「今まで一度も『違う肌の色になりたい』とか『肌の色を明るくしたい』とか考えたことはないわ。私は私自身を愛していて、私にとっては完璧だから」と、力強く語った。
 
 またセレナは、女性の地位向上に向けての活動も精力的に行なっている。保有する約2億ドル(約210億円)もの資産をもってして、新興企業をターゲットとした投資ファンドの設立、サイズの豊富なファッションブランド『Serena』の立ち上げなど、世界中の女性の助けになりたいと願っているという。

「現代社会では、女性は未来のリーダーやCEOになることを教えられてはいないし、期待されてもいない」と、世の女性の扱いに不満をもらすセレナだが、そんな中でも、「私のような立場の人間ならば、女性にもちゃんと意思があるってことを示すことができると思うの。声を上げることができない何百万人もの女性を救いたい」と大きな目標を語った。

 セレナは、娘・オリンピアちゃんの出産の際に、一時危険な状態に陥り、その影響から出産後には6週間もの間ベッドに横になって過ごしたという。しかしそれを乗り越え、テニス界に見事なカムバックを果たした。強い黒人女性、強い母の象徴として、今後もより一層の活躍が期待される。

構成●スマッシュ編集部

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