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うまさに攻撃性を加えることに成功したオールラウンダー、チチパス【若手有望選手の成長|第2回】

スマッシュ編集部

2020.12.05

2020年全仏オープンではベスト4入りしたチチパス。(C)Getty Images

2020年全仏オープンではベスト4入りしたチチパス。(C)Getty Images

 最近のテニス界は若手選手の活躍が目覚ましい。そんな彼らは、今から2年前の2018年頃から、その片鱗を見せていた。当時21歳以下の“NEXT GEN”として台頭してきた選手を、元プロテニスプレーヤーの辻野隆三さんに解説してもらった。現在の立ち位置とともに検証していく。

 第2回は、現在22歳にして世界6位につけるステファノス・チチパス(ギリシャ)。2018年はツアー大会で初優勝し、21歳以下のトップ8の選手で戦う『ネクストジェン ATPファイナルズ』で頂点に立った。18年の最終ランキングは15位。

 辻野氏の当時の評価は「オールラウンダーで、特にバックのスライスでのかわし方がうまいです。試合ではうまくいっている点、ダメな点を見極められるうまさがあり、相手を崩して自分で決めるパターンまで持っていける我慢強さもあるため簡単にポイントを落としません。出場大会数が多いのは身体が強い証拠で、将来的にも重要な点です」

 チチパスは故障することなくランキングを着実に上げていった。体重も2年前の85キロから89キロと4キロ増加して、フィジカルもしっかりとしてきている。
 
 課題として挙げていたのは、「時々攻撃のタイミングが遅くなること。フォアで少しボールを落として打つ時があるので、攻撃のチャンスを見逃さず早く展開していくことです。あとは爆発力。どこかでガツンと行ってほしいですね」

 取材した直後の『ネクストジェン ATPファイナルズ』で優勝したことが、辻野氏の求める「ガツン」という結果だったのだろう。19年にはツアー2大会でタイトルを獲得。全豪オープンでは4回戦でフェデラーに勝利して、自身初のグランドスラムベスト4入り。『ATPファイナルズ』では初出場、初優勝を果たした。

 プレーの面では、以前よりも積極的にネットに詰める姿勢がうかがえるようになり、うまさが際立つオールラウンダーから、攻撃的なオールラウンダーへと成長を遂げている。20年も1大会で優勝し、全仏オープンでも準決勝に進出するなど勢いを持続。トップグループのポジションを確固たるものにしており、来シーズンもテニスファンを楽しませてくれそうだ。

◆Stefanos Tsitsipas/ステファノス・チチパス
1998 年8月12 日、ギリシャ生まれ。モナコ在住。193cm、89kg、右利き、片手BH。3歳でテニスを始める。父は元々テニスコーチで、現在のコーチ。母は元プロ選手で現在はテニスコーチ。兄弟は皆テニス選手で、祖父は元プロサッカー選手。フランスのムラトグルアカデミーが拠点。親族に日本人がいるため親日家。

解説/辻野隆三(MIRAI テニスアカデミー代表)
元デ杯日本代表。NHKやGOARAのテレビ解説でもおなじみ。ATPマスターズを含む海外の大会に頻繁に行き、情報を常にアップデート。テニス事情に精通している。

構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2019年1月号(2018年11月発売号)より加筆・再編集

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