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国内テニス

加藤と日比野、26歳の誕生日を迎えた2人が明かす、テニス選手としての理想と現実

内田暁

2020.12.06

誕生日が僅か1週間差という加藤(右)と日比野(左)。写真:内田暁

誕生日が僅か1週間差という加藤(右)と日比野(左)。写真:内田暁

 現在の日本女子シングルスおよびダブルスのランキング上位10名を見ると、うち5名までもが、1994年生まれの選手たちで占められている(日比野菜緒は単複両方でトップ10)。

 それら“94年組”と呼ばれる豊作の同期のなかでも、練習拠点を共有し、誕生日も僅か1週間違いの日比野と加藤未唯は、オンコートでは切磋琢磨し、オフコートでは幼馴染にも似た友人だ。

 11月末に26歳の誕生日を迎えたばかりのその二人に、お互いへの想い、そしてテニスプレーヤーとしての現在地を伺った。

 同じ質問を投げかけることで、返ってきた声は時に共鳴し、時に異なるトーンで響きながら、深みある旋律を奏でていく――。

 テニス競技は国内外を問わず、各年代ごとに多くの大会が、常に各地で開かれている。
 だから生まれ育った地は離れていても、幼少期に地元で“天才少女”と呼ばれた者たちの足跡は、同じ高みを目指す道程で、交錯するのが理りだ。
 
 加藤が日比野を認識したのは、小学6年生の時。全国小学生テニス選手権大会の、会場でのことである。

「私はシードやったんで、1回戦はバイ(免除)でした。それで2回戦で当たる相手の試合を見に行ったら、三つ編みの大きな子が飛び上がってサービスを打ってたんです。小学生がサービスを飛んで打つのは珍しいので、それが印象的でしたね」

 視察した試合を制し、2回戦で加藤と対戦した「ジャンプサーブの子」が、もちろん日比野である。

 一方の日比野も、この時の対戦は覚えていると言った。

「確か7-5,6-0くらいのスコアで負けたんじゃなかったかな(実際は6-4,6-0)。セカンドセットにゼロつけられて、コーチに怒られたのは覚えてるんです。『ファーストセット競って落とすと、気落ちするのが悪い癖だ』って」

 ただ、この敗戦以上に印象に残っているのは、それから数か月後の出来事。試合会場で日比野が親と歩いていると、近づいてきた加藤が「いつもお世話になっています、加藤未唯です」と自己紹介した時だ。

「私と同い歳なのに、こんなにしっかり目上の人に挨拶できる子がいるんだって、びっくりしました」

 大人っぽい立ち振舞に、お嬢様前としたウェアや私服の着こなし……それが日比野が覚えている、小学生時の加藤像。ただ距離が縮まり話すようになると、加藤への印象は「サバサバしていて、見た目とのギャップがある子」へと変容した。
 
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