最後に二人に、26歳として迎える来季の抱負を伺った。
　ここをスタートラインと見定める、日比野が言う。

「わかりやすい結果で言えば、オリンピックに出ることと、グランドスラムでベスト８くらいに入っていけるようになりたい。でも……自分が幸せだったら、それでいいかなって最近思えてきて。
　自分が幸せであることの要素の一つに、テニスで勝つこともある。もちろん、テニスで結果を出せば自分も嬉しいし周りの人も喜んでくれるので、グランドスラムで良い結果を出したいなと思ってます」

　新しい景色を見るため、かつて居た場所の、その先を目指す加藤が言う。

「来年こそは、シングルスに出たいですね。やっぱり結果を残したいです、26歳は。自分はテニス選手だと、胸を張って言えるようになりたい。勝ってないと、あんまりテニスプレーヤー感がないので。勝つと……言える気がします。職業として、胸張って言える」

　僅か１週間を隔てて生を受け、同じ競技に魅入られて、似た道を歩んできた二人。
　その足跡は時に交差し、時に乖離してきたが、同じ高みを目指す限り、また必ず重なっていく―――。
  　日比野菜緒、加藤未唯に共通質問４連発

【私だけが知っているであろう日比野菜緒／加藤未唯】
日比野「テニス界や後輩のことなど、凄く考えているところ」
加藤「少しでも音がすると眠れない。灯りがあるのもダメ。あと、朝のルーティーンが凄い。お湯飲んでます」

【テニス選手として、人として尊敬できる点】
日比野「フットワークが軽い！　オンコートでもオフコートでも」
加藤「ストイックなところ。納得できない点があると、ずっと練習しています。あと、人に流されず自分をしっかり持っているところ。でも、私の誘いには良く応じてくれるところ」

【相手のテクニックや武器を一つだけもらえるとしたら？】
日比野「フォアのクロス。あれだけスピンかけて追い出せたら、次の展開ラクだろうなって思います」
加藤「バックうまいから……と思ったけれど、コントロールですね。すべてのショットの精度の高さ」

【二人で共有した思い出】
日比野「なにかのインタビューで、未唯が『菜緒と一緒に上に行きたい』と言ってくれてるのを見て、泣いちゃいました」
加藤「2017年末に同じ大会で二人して捻挫して、その後のオフに車椅子でユニバ（ユニバーサルスタジオジャパン）に行ったこと。あと2018年のフェドカップアジア予選で、一緒に勝ち上がった時は嬉しかったです」

取材・文●内田暁

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