海外テニス

大坂なおみが有名ファッション誌で“憧れのセレナ”や“人種差別問題”について心境を明かす

中村光佑

2020.12.14

女子テニスのトッププロとしてはもとより、今やオピニオンリーダー的な存在感を放つ大坂。(C)Getty Images

 女子テニス世界3位の大坂なおみがアメリカのファッション雑誌「VOGUE」のインタビューに応じ、その中でセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)や自身のアイデンティティーについて語った。

 幼い頃は23回のグランドスラム優勝者であるセレナに憧れて育ったという大坂。そんな自身のアイドルでもあるセレナから2018年の全米オープン決勝で勝利をつかみ取った大坂は、日本勢初のメジャータイトル獲得者となった。

 だが大坂によれば、大舞台でセレナから勝利を収めたにも関わらず、今でも憧れの気持ちは変わらないという。「彼女(セレナ)の方が得意なことがたくさんある」とした上で、「彼女は私よりアグレッシブで、ビッグショットを打つタイミングを知っている。時々、本当にすごいサービスリターンを打つことがあるけど、私にはそれが全くできない。正直なところ、彼女のことがちょっと怖いと思っている」と率直に語った。

 一方で「(全米の時は)私は自分の感情をすべて遮断して、ネットを横切ってくるすべてのボールが私の相手であるかのように、ボールに向かってプレーすることを考えた」と集中力を保っていたという大坂だが、「コートに立つ時はセレナ・ウィリアムズとしてではなく、1人のテニスプレーヤーとして接しなければならない」と気持ちのコントロールが難しかったことを語った。
 
 また、2度目の優勝を果たした今年の全米オープンでは大会期間中、黒人差別抗議行動の一環として犠牲者の名前が記されたマスクを着用するなど、コート内外で世界中から注目を集めた大坂。

 自身のアイデンティティーについて質問を受けると、「私は自分のことを日系・ハイチ系・アメリカ系のミックスだと思っている。いつも(家族の影響で)日本の伝統と文化を受け継いで育ったけど、私は黒人で今はアメリカに住んでいる」といい、「ここで起こっていること(黒人差別)は本当に怖い」と抗議行動に積極的に参加している理由も明かした。

 すでにグランドスラムで3つのタイトルを持ち、米スポーツ誌が選出する今年の「スポーツパーソン・オブ・ザ・イヤー」の栄誉にも輝いた大坂だが、来シーズンは生涯グランドスラムを目標に、さらなる飛躍が期待される。

文●中村光佑

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