国内テニス

テニス選手にとって重要なコーチの存在。穂積絵莉が「私には必要な人」と再契約を結んだ経緯

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2020.12.17

コーチ変更を決断した経緯を話してくれた穂積絵莉。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 コーチを誰に依頼するか? テニス選手にとって、それは自分のキャリアを大きく左右するほど、重大なことだ。

 2017年の年末、穂積絵莉はある決断をした。13歳の時から見てもらっている梅田邦明コーチとの師弟関係を終わりにして、18年はイギリス人のツアーコーチに依頼し、杉山愛さんにスポットで見てもらうことにしたのだ。

 14年にキャリアハイ144位まで行ったものの、その後は100位を切ることができず、「ちょっとマンネリ化」を感じ、「私にも甘えが出ているのかな」と考えてのことだった。100位台のランキングになり、さらに上を目指そうと考えた時、コーチを変えることは間違っていない。しかし、歯車はうまく回らず、ランキングは下がって行った……。

「テニスの調子が落ちたというわけでもなく、ただ勝てなかった。本当に勝てませんでした、ビックリするぐらい。原因、わからないんです」と当時を振り返る。実際18年は、ダブルスでは全仏で準優勝し、ツアータイトルも獲得しているので、テニスの調子は悪くはなかったのだろう。しかし、シングルスで結果が出ない。
 
「テニスの調子がいいのに勝てないから、気持ち的には結構きつくて……。それでもイギリス人のコーチは『テニス自体はいいから、いい』って言うんです」。自分の気持ちを持ち上げるために、そう言ってくれているんだろうと思いながらも、「結果につながらなかったら意味ないんだよ」と感じている自分もいた。

 約1年、新しいコーチと組んだ穂積は再び決断する。梅田コーチに戻ろう。

 初めて新しいコーチについたことで、今までやってもらっていたことの有難さ、すごさがわかり、「やっぱり私には必要な人だったんだ」と身に染みた。18年の終わりから、再び梅田コーチとチームを組むことになった。

 再タッグに当たって、梅田コーチが前々から気になっていた打ち方やプレースタイルを変えることにした。アグレッシブに攻めていくリスクが高いプレーから、もう少しリスクを減らすプレーへの移行を目指すことにしたのだ。つまり、ミスを減らすということ。これは最終的に目指すプレースタイルを作り上げるための第一歩だった。
 
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