テニス観戦している時、あなたはセカンドサービスのコースをどのように予測しているだろうか。
例えば、リターン側が右利きでデュースコートの場面なら、跳ね上がるようなトップスピンをバックハンドで打たせるセンターへのサービスが最初の選択肢となるはずだ。ボディへ食い込むようなスライスサービスもありだろう。しかし、相手にフォアハンドリターンを許すようなワイドへのサービスは? 頭と身体に染み付いた常識的には、とても危険なチョイスであるように思える。
では実際の統計では、どうなっているのか。これまでの常識を覆すようなデータ分析がATP公式サイトに掲載されている。相手のフォア側へのワイドサービスが、最も高いポイント獲得率をあげているというのだ。
●デュースコートでのトップ10のセカンドサービス(vs.右利き)
コース(打った割合/ポイント獲得率)
ワイド(25%/65%)
ボディ(23%/56%)
センター(53%/58%)
ここで示されたデータは、2020シーズンのトップ10選手(5位のフェデラーはデータソースとなった大会に出場していないため、代わりに11位のモンフィスのデータを算入)が右利きを相手にデュースコートで打ったセカンドサービスのコース別ポイント獲得率だ。
最も多く選択されているのは、相手バックサイド=センターへのキックサービス。ここは誰もが予想した通りだろう。しかし、相手フォアサイド=ワイドへのサービスはボディより多く使われている上、ポイント獲得率ではセンターへのサービスをも大きく引き離している。
選手個々のデータを見ても、チチパスが75.0%をマークするなど、10人中8人がワイドに打った際に最高のポイント獲得率を得ていた。ちなみに、この10選手のうちモンフィス、ジョコビッチ、メドベージェフの3人は、ワイドへのサービスを最も多く使っていたという。
●相手のフォアハンドリターンでのポイント獲得率
1. ステファノス・チチパス 75.0%(21/28)
2. アレクサンダー・ズベレフ 66.7%(4/6)
3. ドミニク・ティーム 67.5%(27/40)
3. ラファエル・ナダル 67.5%(27/40)
5. ダニール・メドベージェフ 64.2%(61/95)
6. ガエル・モンフィス 62.7%(37/59)
7. マッテオ・ベレッティーニ 62.5%(10/16)
8. ディエゴ・シュワルツマン 60.6%(40/66)
ではなぜ、想像を覆すようなデータが出てきているのだろう。相手フォアサイドへのサービスにどのような利点があるというのか。ATP公式サイトでは次の2点を指摘している。
【1】サプライズ
セカンドサービスの75%がボディかセンターに打たれており、リターナーはバックハンドへのサービスに比重をおいて予測する。そのぶん、フォアハンド側へのサービスには素早い調整が必要なためミスが発生しがち。
【2】オーバーヒット
フォアハンドリターンはバックハンドに比べ強く打てるため、リターナーはついつい大振りしたくなる。実際には、ワイド側で身体が伸ばされているにもかかわらず攻撃的にプレーすればエラーも起こりやすい。
セカンドサービスはバックハンドで打たせるべき―—これが常識としてあるからこそ成り立つ裏戦略。セカンドサービスをフォア側へのワイドへ打ち込むメリットとこの実績を知っておくと、次の試合観戦がより楽しくなるに違いない。
構成●スマッシュ編集部
【PHOTO】チチパスのサービスからドライブボレー2018年、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
例えば、リターン側が右利きでデュースコートの場面なら、跳ね上がるようなトップスピンをバックハンドで打たせるセンターへのサービスが最初の選択肢となるはずだ。ボディへ食い込むようなスライスサービスもありだろう。しかし、相手にフォアハンドリターンを許すようなワイドへのサービスは? 頭と身体に染み付いた常識的には、とても危険なチョイスであるように思える。
では実際の統計では、どうなっているのか。これまでの常識を覆すようなデータ分析がATP公式サイトに掲載されている。相手のフォア側へのワイドサービスが、最も高いポイント獲得率をあげているというのだ。
●デュースコートでのトップ10のセカンドサービス(vs.右利き)
コース(打った割合/ポイント獲得率)
ワイド(25%/65%)
ボディ(23%/56%)
センター(53%/58%)
ここで示されたデータは、2020シーズンのトップ10選手(5位のフェデラーはデータソースとなった大会に出場していないため、代わりに11位のモンフィスのデータを算入)が右利きを相手にデュースコートで打ったセカンドサービスのコース別ポイント獲得率だ。
最も多く選択されているのは、相手バックサイド=センターへのキックサービス。ここは誰もが予想した通りだろう。しかし、相手フォアサイド=ワイドへのサービスはボディより多く使われている上、ポイント獲得率ではセンターへのサービスをも大きく引き離している。
選手個々のデータを見ても、チチパスが75.0%をマークするなど、10人中8人がワイドに打った際に最高のポイント獲得率を得ていた。ちなみに、この10選手のうちモンフィス、ジョコビッチ、メドベージェフの3人は、ワイドへのサービスを最も多く使っていたという。
●相手のフォアハンドリターンでのポイント獲得率
1. ステファノス・チチパス 75.0%(21/28)
2. アレクサンダー・ズベレフ 66.7%(4/6)
3. ドミニク・ティーム 67.5%(27/40)
3. ラファエル・ナダル 67.5%(27/40)
5. ダニール・メドベージェフ 64.2%(61/95)
6. ガエル・モンフィス 62.7%(37/59)
7. マッテオ・ベレッティーニ 62.5%(10/16)
8. ディエゴ・シュワルツマン 60.6%(40/66)
ではなぜ、想像を覆すようなデータが出てきているのだろう。相手フォアサイドへのサービスにどのような利点があるというのか。ATP公式サイトでは次の2点を指摘している。
【1】サプライズ
セカンドサービスの75%がボディかセンターに打たれており、リターナーはバックハンドへのサービスに比重をおいて予測する。そのぶん、フォアハンド側へのサービスには素早い調整が必要なためミスが発生しがち。
【2】オーバーヒット
フォアハンドリターンはバックハンドに比べ強く打てるため、リターナーはついつい大振りしたくなる。実際には、ワイド側で身体が伸ばされているにもかかわらず攻撃的にプレーすればエラーも起こりやすい。
セカンドサービスはバックハンドで打たせるべき―—これが常識としてあるからこそ成り立つ裏戦略。セカンドサービスをフォア側へのワイドへ打ち込むメリットとこの実績を知っておくと、次の試合観戦がより楽しくなるに違いない。
構成●スマッシュ編集部
【PHOTO】チチパスのサービスからドライブボレー2018年、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』