波乱のテニス2020年シーズンは、ダニール・メドベージェフの『Nitto ATPファイナルズ』初優勝で幕を下ろした。11月初旬のパリ・マスターズから10連勝した24歳のロシア人は、キャリアハイの世界ランク4位で今季を終えている。
そのメドベージェフの強さについて、ジョコビッチ、ナダル、ティームのトップ3を全て倒したATPファイナルズ5試合のデータ分析から導き出したレポートがATP公式サイトに掲載されている。
メドベージェフのゲームスタイルは、サーブ&ボレーヤーやアグレッシブ・ベースライナー、カウンターパンチャーなどと分類される様々なスタイルの要素を備え、それらを狡猾に組み合わせたものだという。型にはまったスタイルなら対策も立てやすいが、ミックスされた彼の場合はそうはいかない。ゆえに、対戦相手はまったく予想外のタイミングでメドベージェフの攻撃を受けることになる。そうして、まるで“暗殺者”のように息の根を止めてしまう――。
そんな暗殺者っぷりを示すポイントとして、5試合のデータから抽出しているのは次の5つの視点だ。
1.バックハンドをベースラインの内側で打つ割合が多い
メドベージェフ 26%
対戦相手5人 12%
2.サービスエースが多い
メドベージェフ 43本
対戦相手5人 14本
3.グラウンドストロークが、低く、深く、速い
―ネット上のボール通過点の高さ
メドベージェフ 67センチ
対戦相手5人 74センチ
―サービスラインより深く入った割合
メドベージェフ 86%
対戦相手5人 83%
―スピード
メドベージェフ 平均速度時速72メートル
対戦相手5人 平均速度時速70メートル
4.セカンドサービスのポイント獲得率が高い
メドベージェフ 48%(63/132)
5人の対戦相手 42%(60/144)
5.ファーストサービスのリターンポイント獲得率が高い
メドベージェフ 29%
対戦相手5人 22.5%
上記のように様々な項目で相手5人を凌駕したわけだが、確かにいつどこから攻撃されるかわからない怖さが浮かんでくる。例えばバックハンド。メドベージェフはフラットドライブを好むので、対戦相手はスピンのように下げられることなく前に出て対処できても良さそうなものだが、実際にはベースラインの内側でバックハンドを打った数はメドベージェフの半分にも満たない。
また、ファーストサービスのリターンポイント獲得率は、シーズン統計でいずれもメドベージェフを凌ぐ数字を記録した5人を相手にしながら、彼らを6.5%も上回った。メドベージェフのリターンは平均で時速68マイルだが、5人は57マイル。彼らが優勝者のサービスに苦しんだ様子がうかがえる。
メドベージェフと対戦した選手たちは、これまでも「彼は低く攻めてくるから、逆襲の隙がみつからない」「普段はやらないようなミスをなぜか犯してしまう」と口を揃えて困惑ぶりを明かしてきた。ATPファイナルズでのメドベージェフは、まさにその真骨頂を見せたと言えるだろう。果たしてこれほどの戦いを続けることができるのか、2021シーズンのメドベージェフに注目だ。
構成●スマッシュ編集部
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そのメドベージェフの強さについて、ジョコビッチ、ナダル、ティームのトップ3を全て倒したATPファイナルズ5試合のデータ分析から導き出したレポートがATP公式サイトに掲載されている。
メドベージェフのゲームスタイルは、サーブ&ボレーヤーやアグレッシブ・ベースライナー、カウンターパンチャーなどと分類される様々なスタイルの要素を備え、それらを狡猾に組み合わせたものだという。型にはまったスタイルなら対策も立てやすいが、ミックスされた彼の場合はそうはいかない。ゆえに、対戦相手はまったく予想外のタイミングでメドベージェフの攻撃を受けることになる。そうして、まるで“暗殺者”のように息の根を止めてしまう――。
そんな暗殺者っぷりを示すポイントとして、5試合のデータから抽出しているのは次の5つの視点だ。
1.バックハンドをベースラインの内側で打つ割合が多い
メドベージェフ 26%
対戦相手5人 12%
2.サービスエースが多い
メドベージェフ 43本
対戦相手5人 14本
3.グラウンドストロークが、低く、深く、速い
―ネット上のボール通過点の高さ
メドベージェフ 67センチ
対戦相手5人 74センチ
―サービスラインより深く入った割合
メドベージェフ 86%
対戦相手5人 83%
―スピード
メドベージェフ 平均速度時速72メートル
対戦相手5人 平均速度時速70メートル
4.セカンドサービスのポイント獲得率が高い
メドベージェフ 48%(63/132)
5人の対戦相手 42%(60/144)
5.ファーストサービスのリターンポイント獲得率が高い
メドベージェフ 29%
対戦相手5人 22.5%
上記のように様々な項目で相手5人を凌駕したわけだが、確かにいつどこから攻撃されるかわからない怖さが浮かんでくる。例えばバックハンド。メドベージェフはフラットドライブを好むので、対戦相手はスピンのように下げられることなく前に出て対処できても良さそうなものだが、実際にはベースラインの内側でバックハンドを打った数はメドベージェフの半分にも満たない。
また、ファーストサービスのリターンポイント獲得率は、シーズン統計でいずれもメドベージェフを凌ぐ数字を記録した5人を相手にしながら、彼らを6.5%も上回った。メドベージェフのリターンは平均で時速68マイルだが、5人は57マイル。彼らが優勝者のサービスに苦しんだ様子がうかがえる。
メドベージェフと対戦した選手たちは、これまでも「彼は低く攻めてくるから、逆襲の隙がみつからない」「普段はやらないようなミスをなぜか犯してしまう」と口を揃えて困惑ぶりを明かしてきた。ATPファイナルズでのメドベージェフは、まさにその真骨頂を見せたと言えるだろう。果たしてこれほどの戦いを続けることができるのか、2021シーズンのメドベージェフに注目だ。
構成●スマッシュ編集部
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