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海外テニス

片手バックハンドの常識を変えた男、クエルテン。高いボールも強烈にたたいてエースを奪う!【レジェンドFILE34】

スマッシュ編集部

2020.12.20

従来はタブーとされていた上体の回転を大胆に取り入れることで、片手バックで強烈なショットを放ったクエルテン。クレー以外でも成績を残した。写真:スマッシュ写真部

従来はタブーとされていた上体の回転を大胆に取り入れることで、片手バックで強烈なショットを放ったクエルテン。クレー以外でも成績を残した。写真:スマッシュ写真部

 クレーコートでエースを取れるストローカーとして、前回はカルロス・モヤを紹介したが、もう1人忘れてはならないのがグスタボ・クエルテンだ。

 1980年代~90年代にかけての男子テニスは、マッケンロー、レンドル、エドバーグ、サンプラスなど、巧みな片手打ちバックハンドを持つ選手が世界ナンバー1の座に就いたが、彼らは高いボールの返球はそれほど得意ではなく、時代の趨勢は両手打ちバックハンドに向きかけていた。そうした中でブラジルから突如として現れたのがクエルテンだった。

 彼が登場した時、身体を目いっぱい使って大きく振り切るバックハンドは、基本を無視した打ち方に見えたものだ。しかし、彼はその打法で高く弾んでくるボールを強烈にたたくことができた。

 現在は、フェデラー、ティーム、チチパス、シャポバロフ、ワウリンカ、ディミトロフと、トップ20以内に6人もの片手バックの選手がいて、そうした打ち方は珍しくない技術になっている。しかしその先駆者はクエルテンであり、時代の流れを作った偉大な選手と言っていいはずだ。
 
 分解写真で紹介したのは、そのクエルテンの片手バック。彼のフォームで特徴的なのは、まず右肩を深く入れた2コマ目の構えで、アゴが肩の上に完全に乗るほど上体をターンしている。

 さらに、それを思い切り開放しながらスイングし、最後は胸を大きく張ってフィニッシュ(9コマ目)。フォアハンドでは一般的に使う上体のひねり戻しを、片手バックに大胆に取り入れたのがクエルテンだった。

 クエルテンは、キャリア序盤はスピン系のボールを軸にしてクレーの頂点に立ったが、途中からはスピン量を減らし、より威力重視のボールを打つようになった。2000年以降はハードコートでも6勝を挙げており、「クレースペシャリスト」という称号ではくくれない活躍を見せた。

【プロフィール】グスタボ・クエルテン/Gustavo Kuerten(BRA)
1976年生まれ。ATPランキング最高位1位(2000年12月)。グランドスラム通算3勝(RG:97、00、01年)。腰の回転を最大限に生かしたフォアハンド、ダイナミックに振り切るバックハンドを武器とするグラウンドストローカー。97年全仏ではムスター、カフェルニコフ、ブルゲラといった歴代優勝者を破ってGS初優勝を果たした。00年にキャリア絶頂期を迎え、全仏とツアー最終戦で優勝。南米選手では初の年度最終ランキングNo.1となった。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

【PHOTO随時更新】クエルテンをはじめ、サンプラス、アガシらレジェンドの希少な分解写真
 
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