レッスン

【テニスギア講座】初めてのラケット・チューンナップ。鉛を使って自分でするには

松尾高司

2020.12.31

プロの中にも、自分で鉛テープを貼ってバランス調整している選手はいる。ティームもその1人。右写真のようにフェイス両サイドに幅広く加重するのが一般的だ。写真:THE DIGEST写真部(左)、松尾高司(右)

 テニスが上達してくると、自分のラケットをもっと使いやすくしたいと考えます。ラケットを軽くすることはできませんが、全体的に重くすることや、部分的に重くすることはでき、それによって打球効果が変化します。今回は鉛テープによるバランス調整について、初めて行なう人向きにレクチャーしましょう。

 鉛テープを貼ったり、グリップの巻き替え、振動止めの装着などのように、少しの調整でスイング感覚や打球効果を変化させることを「チューンナップ」と呼びます。一方、ラケットの長さを変えたり、グリップ形状を作り変えてしまうのは「改造」です。チューンナップに挑む前に、両者は異なることを知っておきましょう。

 鉛テープはテニスショップなどで市販されているものを使います。連続したテープを必要なだけ切って使うロールタイプ、あらかじめ数グラム単位にセパレートされている簡易タイプ、ストリングの間を通して両側に対称に貼れるH型など、色々なタイプがあるので、予算や貼りやすさを考慮しながら選んでください。

 その鉛テープをラケットのどの位置にどれくらいの量を貼るかで、スイング感覚や、打球に与える効果が大きく違ってきます。
 
 目的として最も多いのは「スイングのパワーを増幅したい」ケース。その場合は「フェイスの両サイド」に貼ると、スイングにパワーが加わり、同時に面安定性が増します。

 センターをちょっと外しても、グリップを回されず、明らかなミスショットから逃れることができます。初めてのバランスチューンでは、まずこのパターンから試しましょう。

 さらにパワーアップを図りたいならば、両側の斜め上「2時方向&10時方向」に貼ってみましょう。フェイスの先端側で強打してスピンをかけるプレーヤーには有効かと思います。ただし、スイングウェイトが増して、振るのに大きな力を要求されることは知っておいてください。

 やらないほうがいいのは「トップの中央に貼る」ことです。少量の鉛テープでスイングパワーを増すことができますが、逆に面安定性が低下するので、ミスショットが増えるでしょう。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2018年1月号より抜粋・再編集

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