ラケット面に装着する振動止め。これはいつからあって、どのくらい必要なのでしょう?
誕生は1980年頃、テニスラケットがそれまでの木製から、カーボンへと移行し始めた時期でした。木製に比べて硬いカーボンは、しなりによるパワーロスが少なくて反発力は高いのですが、そのぶんインパクト時の腕への衝撃や振動は大きくなります。その振動を少しでも感じにくくしようと生まれたのが振動止めです。
当初は、振動は感じにくいものの、打球感がボヤけると不評でしたが、カーボン化が進むと必要性が高まり、使用者が増えてきます。それにつれていろんな振動止めが登場。ラバー製だけれど、内部に液体が封入されたり、その中に小さな鉄球が入っていたり……。
当時のプロは振動止めを好みませんでしたが、「スポンジ製のものは振動を奪いすぎない」ということで、使用するプロがチラホラと出てきました。そして、アガシの愛用で話題になったのが輪ゴム。これも適度な振動止め効果ということで、好評を博します。
現代ではフレームがさらに硬くなっていますし、衝撃の大きいポリエステル系ストリングが広まったため、振動止めは一般にも幅広く浸透したというわけです。
今日の主流となっている振動止めは「ポイントタイプ」です。縦ストリングのセンター2本の間に挟んで装着します。素材は、シリコーンとラバーの複合素材や、ポリウレタンなど、防振性の高いものが用いられます。
過去には様々な形状のポイントタイプ振動止めがありましたが、今では「丸型」と「角型」がメインです。もちろん「三角型」や「星型」などの変則タイプもあり、とても微妙な感覚ですが、その形状によって効果も違ってきます。
あくまで目安ですが、ポイントタイプで最も振動除去効果が大きいのは角型と考えられます。その理由は、振動止めとストリングとの接触部分の面積が最も広いからです。丸型や三角型、星型などは、それよりもう少しだけ効き方が抑えられている感じですね。
他に「ヘビ型ロングタイプ」というのが厚ラケ全盛時代に流行しました。シリコーンのチューブに、ジェルや防振性リキッドなどが封入されている、スパゲティのようなスタイル。縦糸のセンター6~8本にうねうねと装着するのですが、カバーする縦糸の範囲が広いため、振動除去効果は絶大です。それが重宝されたのは、厚ラケの打球衝撃と振動がとても大きかったためですが、今日では打感を鈍くしすぎるということで使用率は低下しています。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2016年2月号より抜粋・再編集
【PHOTO】激しい衝撃と振動が生じるインパクトの瞬間を激写!!
誕生は1980年頃、テニスラケットがそれまでの木製から、カーボンへと移行し始めた時期でした。木製に比べて硬いカーボンは、しなりによるパワーロスが少なくて反発力は高いのですが、そのぶんインパクト時の腕への衝撃や振動は大きくなります。その振動を少しでも感じにくくしようと生まれたのが振動止めです。
当初は、振動は感じにくいものの、打球感がボヤけると不評でしたが、カーボン化が進むと必要性が高まり、使用者が増えてきます。それにつれていろんな振動止めが登場。ラバー製だけれど、内部に液体が封入されたり、その中に小さな鉄球が入っていたり……。
当時のプロは振動止めを好みませんでしたが、「スポンジ製のものは振動を奪いすぎない」ということで、使用するプロがチラホラと出てきました。そして、アガシの愛用で話題になったのが輪ゴム。これも適度な振動止め効果ということで、好評を博します。
現代ではフレームがさらに硬くなっていますし、衝撃の大きいポリエステル系ストリングが広まったため、振動止めは一般にも幅広く浸透したというわけです。
今日の主流となっている振動止めは「ポイントタイプ」です。縦ストリングのセンター2本の間に挟んで装着します。素材は、シリコーンとラバーの複合素材や、ポリウレタンなど、防振性の高いものが用いられます。
過去には様々な形状のポイントタイプ振動止めがありましたが、今では「丸型」と「角型」がメインです。もちろん「三角型」や「星型」などの変則タイプもあり、とても微妙な感覚ですが、その形状によって効果も違ってきます。
あくまで目安ですが、ポイントタイプで最も振動除去効果が大きいのは角型と考えられます。その理由は、振動止めとストリングとの接触部分の面積が最も広いからです。丸型や三角型、星型などは、それよりもう少しだけ効き方が抑えられている感じですね。
他に「ヘビ型ロングタイプ」というのが厚ラケ全盛時代に流行しました。シリコーンのチューブに、ジェルや防振性リキッドなどが封入されている、スパゲティのようなスタイル。縦糸のセンター6~8本にうねうねと装着するのですが、カバーする縦糸の範囲が広いため、振動除去効果は絶大です。それが重宝されたのは、厚ラケの打球衝撃と振動がとても大きかったためですが、今日では打感を鈍くしすぎるということで使用率は低下しています。
文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2016年2月号より抜粋・再編集
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