海外テニス

「議論する問題が数多くある」チャンピオンであり活動家の大坂なおみがAP通信の『今年の女性アスリート』に選出

中村光佑

2020.12.29

大坂の全米優勝の結果に加えて、人種差別抗議の行動を取り社会に問題提起したことも評価されての選出となった。(C)Getty Images

 全米オープンで2度目の優勝を果たした女子テニス世界3位の大坂なおみが、AP通信の「今年の女性アスリート」に選出された。大坂は編集者や記者の投票で35票中、18人の1位票を獲得している。

 黒人のジョージ・フロイドさんが殺害された事件を契機に、8月のツアー再開後から積極的に「Black Lives Matter(黒人の命は大切)運動」に参加し続けている大坂。全米オープンの大会期間中には黒人差別抗議行動の一環として犠牲者の名前が記されたマスクを着用した上で入場し、人種的不公平や警察の横暴について発言したことでも大きな話題となった。

 受賞インタビューに応じた大坂は「明らかに議論する価値のある問題が数多くある。特にこの問題(人種差別)は、私自身の育った環境もあり、テニスツアーが休止されている間に、初めてニュースをじっくり見たり読んだりすることができたから、とても心に響いた。今年の夏のアメリカでは、人種差別問題への意識が非常に高まっていた」と語っている。
 
 また、大坂の受賞にWTA(女子テニス協会)を創設したビリージーン・キング氏は「彼女は、スポーツパフォーマンスの卓越性を発揮し、そのプラットフォームを使って、より大きなステージでスポーツ以外の分野で成功するという難しい課題を見事にクリアした」とコメントをした上で、「彼女は社会正義についての議論を点火させ、テニスよりも大きな意味があることを成し遂げた」と大坂を称賛した。

 なお、大坂は現地28日にTwitterを更新。今回の受賞に際し、ハートと両手を合わせる絵文字を用いて、感謝の気持ちを示している。これを見たテニスファンからは祝福の声が多数上がっていた。

 彼女の2021年に向けての目標は「一生懸命する、よりよいことをする、声をあげる、優しくなる」とのこと。以前は自身を「内気」と称するほどだったが、最近ではコート内外で存在感を見せている。2021年も彼女の行動に注目だ。

文●中村光佑

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