海外テニス

全豪オープンの検疫でトップ選手に優遇措置? 不満を漏らす下位選手にジョコビッチも同意

中村光佑

2021.01.11

トップ選手が特権的な待遇を受けることに異議を唱えるシャルディ(左)。ジョコビッチ(右)もこの措置には反対だという。(C)Getty Images

 今年の全豪オープンでは、開催地のメルボルンで検疫を行なう人数が州政府の設定した制限を超えてしまう可能性があるため、オーストラリアテニス連盟が南オーストラリア州政府との合意の下、アデレードでの選手受け入れを決定している。

 一方でアデレードに渡航するトップ3選手は、1チームで家族を含むより多くの人数を帯同できる上に、ホテルのジムを24時間自由に使えるなど、メルボルンで措置を受ける選手よりも良い待遇を受けられることから、テニス界でも物議を醸している。

 現在開催中のアンタルヤ・オープン(トルコ・アンタルヤ/ATP250)で1回戦直後のインタビューに応じた世界ランキング72位のジェレミー・シャルディ(フランス)は「彼ら(トップ選手)は普通に外出できるし、ほとんど普通に生活できるようになるだろう」と語った上で、「彼らの特権なのかもしれないが、全員が同じ土俵に立つことが前提なのに、(今回の決定は)非常に奇妙なことだ。もし私が世界4位だったら、取り乱していたと思う」と不快感をあらわにした。
 
 これについては男子世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)もアデレードとメルボルンでの待遇が異なることを認めているものの、「僕自身も賛成しているわけではない」と語っているようだ。

 アメリカのテニス専門チャンネル『Tennis Channel』に出演した全豪オープンのトーナメントディレクター、クレイグ・タイリー氏は一連の批判に対し、「トップ選手は別のホテルに泊まり、明らかに少人数で直接メルボルンに移動するため、感染防止の観点ではメリットがあるだろう」としながらも、「実質的な違いはなく、全ての選手が同じルールに従う。トレーニングの条件もメルボルンとは特に変わらない」と反論。さらに「アデレードでの隔離措置については正確な報道がされていない」とコメントを残している。

 2つの都市での検疫は急遽発表されたものであるだけに、今後の動向にも注目が集まりそうだが、できる限り選手間での公平性を保った上で新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ必要があるだろう。

文●中村光佑

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