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海外テニス

全豪初戦、錦織圭は難敵カレノブスタとどう戦うか?前哨戦でのプレーから見えてきた選択肢〈SMASH〉

内田暁

2021.02.08

今季初戦となったメドベージェフ戦、錦織のプレーは悪くなかった。本人もポジティブな言葉を並べていたが…。(C)Getty Images

今季初戦となったメドベージェフ戦、錦織のプレーは悪くなかった。本人もポジティブな言葉を並べていたが…。(C)Getty Images

「思ったより、悪くなかったですね」

 これは錦織が、ATPカップ初戦のロシア戦で、ダニール・メドベージェフに敗れた後に残した言葉である。

 2-6、4-6の敗戦ながら、4か月ぶりの公式戦、そして2週間に及ぶ“完全隔離”明けという状況を考慮した時、十分に手応えを得られる内容でもあった。第1セットこそ世界4位の強打と早い展開のテニスに飲まれたが、第2セットでは、サーブ&ボレーを織り交ぜ相手にプレッシャーをかけるなど、錦織らしい駆け引きの妙やプレーの幅も披露する。

「体力的には意外にできました」「2セット目は全部良かった」など、試合後の本人のコメントも、ポジティブなそれが並んだ。

 ただ、この時に錦織がのぞかせたほぼ唯一のネガティブな思いが、「アップダウンがあるのは否めない」ことである。そして、本人が試合の中で感じた安定感の欠如は、もう少し長いスパンで見た時にも顕在化する、不安要素でもあった。
 
 メドベージェフ戦から2日後の、対ディエゴ・シュワルツマン戦。高低差も含め、コートを広く用いるのを得手とするストロークの名手との試合後に、錦織は「1試合目の方が、ボールの感覚は良かった」と落胆の表情を見せる。

「まだ多くの感覚を失っている」「自分のしたいプレーに、身体の動きがついてきてくれなかった」と、口をつく言葉にも苦渋ともどかしさが滲んだ。

 対戦相手との相性もあれば、その日の身体の状態や、気温やサーフェスの微妙な差異が影響を及ぼすこともあるだろう。いずれにしても、「ボールを打つ感覚」という本人の中にしか存在し得ない評価基準が、その時々によって大きく上下動するのが、今の錦織のリアルだ。

 シュワルツマン戦においては、1試合の中に見られる感覚や試合勘の上下動は、スコアにもダイレクトに反映された。最初のリターンゲームでデュースに持ち込むもキープされ、続く自身のサービスゲームを3度のデュースの末に落とすと、以降はミスが増え立て直すことができなかった。
 

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