海外テニス

イタリアの超新星・ムゼッティが、メキシコ・オープンで大活躍「夢のような1週間だった」〈SMASH〉

中村光佑

2021.03.21

ハードコートでの勝利も今大会が初めてのことだった。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「メキシコ・オープン」(3月15~20日/メキシコ・アカプルコ/ハード/ATP500)のシングルス準決勝で第1シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)に敗れ、初のツアー決勝進出を逃した世界120位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)が、試合後の記者会見で今大会を振り返った。

 昨年のイタリア国際(イタリア・ローマ/クレー/ATP1000)で、ATPツアー本戦初出場にしてスタン・ワウリンカ(スイス)や錦織圭らに勝利し、テニス界に衝撃を与えたムゼッティ。今大会では予選3試合を勝ち上がると、1回戦で世界9位のディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)を破る大金星を挙げた。

 そのまま勢いに乗ったムゼッティは2回戦でフランシス・ティアフォー(アメリカ/56位)、準々決勝でグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア/16位)など、トップレベルの実力を持つ選手を次々と撃破。キャリアで初となるATP500大会での4強入りを果たし、大会後に更新される世界ランキングでも初のトップ100入りを確定させた。
 
 迎えた準決勝ではチチパスのキレのあるプレーに翻弄され、惜しくも決勝の舞台には届かなかった19歳のムゼッティ。記者会見で「今夜はステファノス(チチパス)のプレーが良すぎた」と勝者を称えた上で、「予選から6試合をこなしたことでとても疲れた。足やお腹に違和感があって、息もうまくできなかった」とベストパフォーマンスを発揮できなかったことを悔やんだ。

 それでも「信じられないような1週間だった。観客のみんなと感動を共有できた」としつつ、「自分の成し遂げたことが信じられない。まさに夢のような1週間だった。毎日が刺激的で、僕にとっては印象に残ることばかりだったから、今週のことは決して忘れない」と、結果には満足している様子だ。

 イタリアテニス界は、マテオ・ベレッティーニ(10位)やヤニック・シナー(32位)など、ニューカマーの台頭が著しいことで注目を浴びており、世界ランキングでもトップ100には8人の選手が名を連ねている。19歳とは思えない多彩なプレーで多くのファンを魅了するムゼッティにも今後の活躍を大いに期待したい。

文●中村光佑

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